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2006/01/30

THE有頂天ホテル

観てきましたよ、三谷幸喜監督・脚本の話題作『THE有頂天ホテル』。金曜の18時25分スタートという微妙な時間にもかかわらず、新宿の劇場はけっこうなお客さんが入ってました。みんな、期待してるんだねぇ。

大晦日のあるホテルを舞台にした一夜のお話。そこには、有能かつ生真面目だけど夢をあきらめた過去を持つ副支配人がいて、夢をあきらめようとしているベルボーイがいて、わけありの客室係がいて、わけありの従業員カップルがいてと、スタッフだけでもかなりおかしなことになっているのだけど、ほかにも汚職政治家とか大物演歌歌手とかパーティを盛り上げる芸人さんたちとかコスプレ姉ちゃんとか、怪しさ満載です。こういったさまざまな人々が、年越しのカウントダウン・パーティに向けて右往左往し、そしてそれぞれのピースがそれぞれに関わり、影響しあって新年を迎えます。

いろんなところでいろんな人がいっているように、なぜこの映画が年末ではなく、年が明けてしばらく経ってからの公開なんだ? ということは、この際おいておきましょう。たしかに年末公開のほうが、より盛り上がっただろうけれど、こういったこちゃこちゃしたお話は、いつ観てもそれなりに楽しめます。

最初のほうに出てくる灰皿のエピソード。こういうの、三谷さんは上手ですね。サービスの仕事に就いている(いたことがある)人は、ここで「おぉっ」っと思って、さらにこういったエピソードを期待してしまうことでしょう。でも、もう出てこない。このあたり、『王様のレストラン』と同じ、ある種のもどかしさを感じてしまいますが、主題が「サービス」のお話ではないので、しかたがありません。

あまりにたくさんの登場人物がいて、それぞれについてはあまり深く追いかけられてはいませんが、このお話はそれぞれの「人」を描くことが重要なのではなく、たくさんの人が物語のピースとなって全体でストーリーをつくっていくという構造なので、人物描写の薄さはあまり気になりませんでした。じっくりとは追われていないけれど、主要登場人物のほとんどが、この夜を機に、少なからず明日へと続くなんらかの第一歩を踏み出すというスタイルになっています。要するにこれがこの映画の主題なのでしょう。だから、このホテルの名前も「ホテル・アヴァンティ(Hotel Avanti)」なのですね。Avantiは「前へ進む」という意味ですから。総支配人と「くねくね」に関してはなんらかのAvantiがあったのかどうかは疑問ですが。

登場人物たちに対する極端なキャラ付けや、冷静に考えればありえないような展開、ご都合主義の部分などもありますが、それをどうこういうタイプのお話ではありません。大晦日という特別な夜に起きた、数々の偶然と必然、そこから生じた人々の想いの変化... そういったものを優しく、あたたかな目でつづっています。

大きなホテルが舞台なわりには意外とこじんまりしたお話で、そこがまた魅力的に感じます。傑作とは思わないけれど、じんわりといい気分になれる楽しい作品でしょう。

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» THE 有頂天ホテル [某茶房拾遺伝]
またも、観てから一ヶ月弱が経過してしまった。 実はこの映画、そんなに期待をしていなかった。 って書くと語弊があるな。そんなに注目していなかった、が正しいかな。 年が明けるくらいまで、この『THE 有頂天ホテル』という映画に関する情報を何ひとつ蒐集していなかったのだ。 三谷幸喜が監督する映画、くらいの認識しかなくて、「当然、劇場には脚を運ぶと思うし、観たらきっと面白いんだろうな」というさっぱりとした認識しかなかったのだ。 で、どのタイミングで行こうか迷ったのだが、たまたま知人と会う約束があって、そ... [続きを読む]

受信: 2006/02/20 01:03

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