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2006/01/23

浅草でにっこり、お台場でがっかり


昨日は浅草で新春歌舞伎を観てきました。これからの歌舞伎界を担う若手役者が中心となって舞台をつくりあげる新春浅草歌舞伎。歌舞伎座で観る、ベテランが主役を張る歌舞伎とは、また違った楽しさがあります。なんといっても若々しい。

昼と夜の1日2公演があるのですが、自分が観たのは昼の部。演目は「鳴神」と「仮名手本忠臣蔵(五段目、六段目)」でした。

「鳴神」は、若い女性の色香にだまされた高僧が怒り狂う、という話でしたが、これ、エロ小説ですね、きっと。こういうのを観ると、歌舞伎が「伝統文化」とか「芸術」なんていう大上段に構えたものじゃなく、大衆娯楽だったんだと実感します。

高僧を演じたのは中村獅童さんですが、彼はうまいのかそれほどでもないのか、よくわからん。以前に歌舞伎座で観たときや、去年の新春浅草歌舞伎のときよりは「歌舞伎っぽい」演技だったかなという気はしますが... 夜にテレビで放送されていた映画『恋人はスナイパー 劇場版』での獅童さんのほうがすっきりと役に入れているような感じがしました。とはいえ、この「鳴神」という演目がおそらく非常に「歌舞伎っぽい」のでしょう。高僧と姫とのやりとり、派手な隈取、最後は片足でたったったったと花道をはけていく(これ、なんというのでしょう?)など、ビジュアル面での「歌舞伎っぽさ」がふんだんに観られて楽しい舞台でした。さすが歌舞伎十八番のうちのひとつ(なんだそうだ)です。

幕間にアナゴづくし弁当を食べたら、次は忠臣蔵です。忠臣蔵の話って、実はほとんど(ぜんぜんに近い)知らないのですが、今年の志の輔落語@PARCOで志の輔さんが忠臣蔵をネタにした新作落語「忠臣ぐらっ」をやったときに枕で聞いた話によると、あだ討ちにいく四十七士の一人一人それぞれにドラマが描かれているのだそうで。で、今回の歌舞伎は四十七士の一人、早野勘平という人のドラマです。

ある町人家の娘婿になり、猟師となって仇討ちの時機を待っていた勘平さん。仇討ち資金にと、ある事情で金を手に入れましたが、そこから義父殺しの嫌疑をかけられ、また勘平さん自身も誤って義父を殺してしまったと思い煩い、かつての仲間の前で腹を切ります。しかし、実はそれは誤解で、義父を殺したのは盗賊、そして手に入れたその金は、もともと義父が、討ち入りの役に立ちたいという勘平さんのために工面してくれたもの。それがわかり、主君のために討ち入りをすると誓った仲間たちの名前が書いてある「連判状」に、勘平さんの名前も書いてもらえることになるのです。しかし、勘平さんはそのまま死んでしまうのです。

つまり、実際に討ち入りにはいけなかったけれど、強い忠誠心を持って討ち入り(の準備)を手伝った人がいたんだよ、っていう話なんでしょう。クライマックスで仲間の浪士が連判状を勘平さんに見せ、「ここに46人の名前が記された連判状がある。ここにおまえの名前も記そう」みたいなことをいうのです。つまり、勘平さんの名前が入って、全部で四十七士。勘平さんは「最後のひとり」だったんです。だけど、討ち入りにはいけなかった。この無念さが観ているものに悲しみとある種の感動を呼ぶのです。いや、呼ぶはずだったのです。なのに、このあとの大切な部分で、仲間の浪士がいいました...

「46人の名前が記された連判状。これに勘平、おまえの名前も加えて、全部で46...」

増えてないじゃん!

残念ながら勘平さんは、あんな思いをして、腹切って内臓つかんで血判まで押したのに、けっきょく数に入れてもらえなかったのです。

いや、たんにセリフを間違っただけだと思うのですが、会場にいた大半の人が「おいっ!」と心の中でつっこんだに違いない。

そんなわけで、今年も楽しい新春浅草歌舞伎でした。

その後、水上バスに乗って(初めて乗った! なんか、楽しかった)お台場へ移動。お台場へ行きたかったというより、水上バスに乗りたかっただけなんですが、せっかくお台場にきたので夕飯食べて帰ろうと思いまして。デックス、アクアシティと、ざっとレストランをチェックしたのだけど、これといって入りたい店が見つからず。それではとヴィーナスフォートにいったのだけど、こっちもたいした店がなく。しかし時間的にそろそろどこかに入らなければと、ヴィーナスフォート内のある店へ。

ビール、美味しかったです。ベルギービールがいろいろあって。しかし、料理はなぁ。まずいとはいわないけれど、あの値段で、こんなもんなのかぁ。せっかくビールは美味しいのに、料理の味わいがそれとバランスを取れていない。見掛けだけは綺麗で豪華そうなのだけどなぁ。店内はひまで従業員もプラプラしてるのにいつまでも下げ物をしないテーブルがたくさんあるし。

以前にお台場に来たときも、アクアシティ内の某有名店のお台場支店?で食べて、料金と提供される料理&サービスのアンバランス(見掛け倒し)にがっかりした記憶があります。けっきょく子供が中心の観光地で食べられるものなんて、こんな感じなのでしょうか。まずくはないけど、気持ちよく料金を払って帰れるだけの満足感はない。追加オーダーを出したいという気持ちにならないもん。

そんなわけで、お台場ですっかりがっかりしてしまったので、さっさと電車に載って家路に着き、途中で濃厚クリーミーな白カビチーズとグリッシーニを調達し、家でそれらをつまみに赤ワイン1本あけちゃいました。けっきょくねぇ、中途半端な店で外食するよりも、家で飲み食いしたほうが美味しいし楽しいんだよなぁ。

昨日はそんな日曜日でしたさ。

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コメント

あまろ~ねさん、こんにちは。

「最後は片足でたったったったと花道をはけていく」 
      ↑
これ「六方を踏む」というのではありませんか?
よく弁慶がやっていたと思います。

投稿: ムーン・フェアリー・ヒロコ | 2006/01/25 06:51

「六方を踏む」というのですか。用語はほとんど知らなくて... でも、たしかに弁慶がやってたかも。いかにも「歌舞伎」って感じですね。これで長い髪をぶんぶんグルグル振り回したりもしてくれれば、きっと外国人とか大喜びさ:D

投稿: もあ | 2006/01/25 18:02

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