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2006/01/13

HUNKA MUNKA / DEDICATO A GIOVANNA G.

このアルバム、けっこう好きなんですよ。半分プログレ、半分ポップスという、変な構成のアルバムですが、すべての曲でHunka Munka(フンカ・ムンカ)のあたたかく歌心にあふれた歌声が楽しめるのが、自分にとっては非常に好ましいです。曲作りやアレンジの大半をIvan Graziani(イヴァン・グラツィアーニ)が担当していることもあってか、初期のIvanの作品に通じるところもたくさんあるように思います。Hunka MunkaのヴォーカルもIvanに似てるし。その点も自分的には好印象。

M1「Nasce un giorno」は陽気なピアノが楽しげなポップ・ソング。可愛らしいテーマ・メロディを持っていて、「あ、いいな」と思っているうちになんだか中途半端な状態で終わってしまいます。なんで途中で終わっちゃうんだよな印象が残りますが、実はこのテーマ・メロディは、あとでまた出てくるのです。

M2「Ruote e sogni」ではクラシカルなオルガンが響き渡り、いよいよプログレ・パートの始まりです。演奏パートではけっこうジャジーな雰囲気があります。

M3「L'aereoplano d'argento」はピアノを中心としたロックンロール。1960年代から70年代初頭くらいのイギリスに、こういった感じの曲って多かったように思います。Traffic(トラフィック)とかにもこういう感じのもの、ありますよね。ちなみに曲の中間部にはスローパートがあり、ここでは幻想的な雰囲気も醸しだしています。

M4「Cattedrali di bambu」このアルバムのハイライトともいえるドラマティック・プログレ・ナンバー。分厚いキーボードと大仰な構成、力強い演奏が楽しめます。サビで一気に盛り上がる歌メロもイタリア的ですね。

M5「Anniversario」では一変して、オルガンの可愛らしい響きが印象的です。淡い夢のような、Hunka Munkaのやわらかな歌声もドリーミーな感じを強めています。これ、どこかの少年合唱団とかに歌わせたら、ぴったりとはまるかも。

M6「Io cantero' per te」は、演奏・アレンジは仰々しいプログレ風ですが、曲のつくりは典型的なイタリアン・バラードですね。カンツォーネの香が色濃く残る哀愁のメロディが心に響きます。

M7とM9はともに「Intermezzo」(間奏曲)と名づけられた小曲。ここでM1のテーマ・メロディが復活します。M7はおてんばだけど可愛らしいイメージのピアノ・アレンジで、M9ではシンフォニックなキーボード・アレンジで演奏されます。

「Intermezzo」にはさまれたM8「Giovanna G.」はアルバムのタイトル曲ですが、アコースティック・ギターをじゃかじゃかと鳴らすロックンロールで、べつにどうということがないような。

M10「Il canto dell amore」は、個人的にはこのアルバム中最高の曲だと思います。このアルバムをプログレ作品ととららえる方にはM4が最高なのでしょうが、歌ものファン、カンタウトーレ・ファンの自分には、やはりこっちです。素直でなめらかで哀愁たっぷりのメロディ・ラインを持った、典型的なイタリア歌曲の流れにある曲でしょう。古臭いノスタルジィともいえるのだけど、やはりこういう感じって好きなのですよ。

イタリアの味を堪能したところで、アルバムの最後を締めるM11「Muore il giorno muore」でまたまたM1、M7、M9のテーマ・メロディが登場します。ここではロックンロール風のアレンジが施され、元気で楽しい感じでアルバムの幕がおります。

プログレな曲とポップな曲が半分ずつで、一見ばらけた印象もあるのだけど、実はアルバムの最初・中間・最後に同じテーマメロディを持った曲を配置し、ある種のテーマ性を持たせているのですね。そういった小技もあってか、自分にはけっこうバランスのとれた作品のように思えます。そして、個性の強いHunka Munkaの暖かい歌声が、アルバム全体に統一感と求心力を与えているといえるのではないでしょうか。

うん。愛らしくて素敵な作品だな。

  

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コメント

私も、このアルバム、好きです!言うまでもなく、という感はありますが、隋所に散りばめられたイタリアのメロディと情緒に、どうしようもなく惹かれてしまいます。M10がベスト・トラック、同感です・・・そういえば、Villa Pamphili(二枚組オムニバス)収録の、“Fino A Non Poterne Piu”メチャクチャ素晴らしいですよね!!私、何度聴いたコトか・・・あと、I DIK DIKのVolando収録曲にも、近い世界があって、大好きです・・・。
今度、Ivanさんを聴いてみます。

投稿: 岩橋信之 | 2006/01/14 02:43

小丸は統一したかも。

投稿: BlogPetの小丸 | 2006/01/14 09:55

keikoさんのところで
質問に答えてくださって ありがとうございます。
まだ もあさんのページを ゆっくり
みることもなく こうして コメントさせていただいています。
もし よろしければ また ご挨拶にまいります。
ありがとうございました。

投稿: totto200511 | 2006/01/14 19:58

>岩橋さん

M10って、Franco Califanoの曲なんですよね。とてもやさしくて暖かいイタリアン・ポップスをつくって歌う人。だからイタリア歌謡の心地よさがたっぷりなのだろうな。

>totto200511

いらっしゃいませ。ここは音楽ネタが大半ですが、ときどき料理ネタとかそのほかのことも書いたりしますので、お時間がありましたらまたおいでくださいね。

投稿: もあ | 2006/01/15 12:01

HUNKA MUNKA IS BACK!!
IF YOU WANT NEWS, RARITIES , SIGNS ETC, PLEASE SEE MY WEBSITE
WWW.JOEYMAURO.COM

投稿: JOEY MAURO | 2006/03/27 01:12

Ciao Joey,
thank you for the info.
Does Roberto sing with you, too, or only play keyboards?
In any case, it's a kind of good news for us Italian rock fun.
Grazie.

投稿: moa | 2006/03/28 18:00

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