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2005年10月23日 - 2005年10月29日

2005/10/28

ROGER WATERS / RADIO K.A.O.S

自分はもともとPink Floyd(ピンク・フロイド)が大好きで、高校のころなどは毎日のように彼らのアルバムを聴いていたものでした。どのアルバムもそれぞれに気に入っているのだけど、毎日がプログレッシヴ・ロックづけでも音楽づけでもなくなったいま、とりあえずPink Floydを聴こうと思ったときについかけてしまうアルバムは『The Final Cut』だったりします。実は自分、彼らのアルバムのなかでこれがいちばん好きなのです。いまは。

『The Wall』の大成功とPink Floydの分裂というハザマでリリースされた『Tha Final Cut』は、Roger Waters(ロジャー・ウォータース)の個人的な嗜好が強く前面に出ていて、Pink FloydのアルバムというよりはRogerのソロ・アルバムに近い... といわれることも多いようです。ならば、ということでPink Floyd脱退後のRogerのソロ・アルバムに『The Final Cut』の影を求めて何枚かを聴いたのですが、やっぱり違うのですよね。

Radio K.A.O.Sという架空のラジオ局を狂言回しに、世の中を批判したり皮肉ったりというコンセプト・アルバムになっているらしいのですが、自分は英語がよくわからんし、手元にあるのは輸入盤だしで、曲やコンセプトの内容とか、よくわかりません。ラジオ風に曲の合間でDJが曲紹介らしきことをしているのは楽しいですが、音楽的にはアメリカンな要素(あえてそうしているのでしょう)が強く、ソウルフルというかゴスペル風なコーラスも多用され(Pink Floydでもときどき導入されてましたね)、Pink Floyd的なところはほとんど見つかりません。

でも、Rogerのヴォーカルはあいかわらず味わい深く、まぁ、これはこれで悪くないでしょう。M2「Who Needs Information」などではほのかに後期Pink Floydの香りがする気がしますが、これでギターがDavid Gilmourだったらなぁと思ってしまうのよねぇ、やはり。Rogerの歌とDavidのギターという組み合わせが、やっぱり自分は好きだったのだよなぁということを強く感じてしまいます。

このアルバム、もう少し曲がよければいいのにな。妙に明るい感じが支配しているのはいいにしても(意図があってのことだろうから)、単純に曲そのものにあまり魅力を感じないのが残念なところです。脱退後最初のソロとなった『The Pros And Cons Of Hitch Hiking』や、ソロ3枚目の『Amused To Death』のほうが、魅力的に思います。

けれど自分はけっきょく『The Final Cut』に戻っていくのでした。


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2005/10/27

JACULA / ANNO DEMONI

イタリアン暗黒ミサ・プログレッシヴ・バンド(?)Jacula(ヤクラ)の、セカンド・アルバムというか、未発表曲寄せ集め集というか、ディスク・ユニオンではJaculaじゃなくてAntonius Rex(アントニウス・レックス)の作品ということになってるようでもあり、まぁ、そんなアルバムです(どんなアルバムだ?)。要するに、アルバムとしてきちんと意図して制作されたものではないものですね。

Jaculaといえば正式アルバムとして唯一の作品『Tardo pede in magiam versus』がむかしは幻の名盤として有名だったのですが、CD再発されてからはけっこうかんたんに手に入るようになりました。全編に鳴り響くチャーチ・オルガンと、どこかでなにかに憑かれちゃったのではないかのような女性ヴォーカルを中心に、一大暗黒ミサ・ロックを展開するという作風は、やはり個性的で独特のパワーを感じるものでした。その後、さらに暗黒なオカルティック・プログレッシヴ・ロックを演奏するDevil Doll(デヴィル・ドール)が出てきてしまったもので、いま聴くとけっこうちゃちっぽく聴こえてしまうところはありますが。

で、『Anno demoni』です。あいかわらずチャーチ・オルガンが全編に鳴り響いてます。でも、それだけ。なんだかなぁ、ロックとしてのエナジーとか、パッションとか、そういったものを感じないんですよ。そもそもリズム隊がリズム隊としての役割をほとんど与えられていなくて、SE的な使い方になっているので、ロックとしてのリズムやビートがないのです。『Tardo pede in magiam versus』ではもう少し暗黒パワーとそれを推進させるロックのリズムがあったと思ったのだけどなぁ。

正式なディスコグラフィでいうと、Jaculaは『Tardo pede in magiam versus』しかリリースしておらず、その後グループはAntonius Rexへと変化して『Zora』をリリースするわけですが、そういえば『Zora』も暗黒な雰囲気を持ったただのロックといった感じだったような記憶があります。この『Anno demoni』と同じですね。と思ってブックレット裏の曲名リストを見ると、どれもクレジットがAntonius Rex名義になってます。そうか。これ、ジャケットではJacula名義だけど、実質はAntonius Rexのアウトテイク集なのか。Jaculaよりもさまざまな面で劣るAntonius Rexの、正式アルバムに入らなかった未発表曲を寄せ集めたCDと考えれば、納得もできますね。

そんなわけで、暗黒な雰囲気だけで、これといって精神的高揚やロックとしてのカタルシスといったものも感じられない、Morte Macabre(モルト・マカブル)と同様の退屈さを感じてしまう作品でした。頻繁に使われている「夜の密林で鳴く鳥」のようなSEも鬱陶しく、だんだんいらいらしてきた。

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2005/10/26

АРАКС / ИСПОВЕДЬ

グループ名はなんと読むのでしょうか? 英語での表記はAraksらしいので、АРАКСでアラクスと読むのかもしれません。この表記からもわかるように、ロシアのグループのようです。ところで、日本語版ウィンドウズのIMEに収録されているロシア文字は2バイト文字なのですが、全世界的にロシア文字って2バイト扱いなんでしょうか?

アルバム1枚で40分程度というのは、LPで育った自分にとっては非常にいい長さです。この40分の中に、パワフルであったりドリーミーであったりとドラマがあります。

最初はシンセサイザーがけっこう唸るスペーシーなシンフォニック・プログレッシヴ風に始まるのですが、ロシア語のヴォーカルが入るところからやにわに熱いハード・シンフォニック風へと展開していきます。かと思うとストリングスの音が聞こえ、合唱も入り込んできたりして、落ち着いた奥深さもかもし出します。さらにはCamel(キャメル)やGotic(ゴティック)などを思い出させるような暖かいフルートの音色のドリーミーでファンタジックなパートもあります。このアルバム、どうやら組曲のようになっているようで、このフルートのファンタジック・パートがアルバム中に何度か現われては消え、アルバムの最後はこのパートで幕を閉じるといった構成になっています。

アルバムの中間あたりの部分では、なんだか詩の朗読にBGM&SEをつけてみましたみたいな感じになってしまい、自分の好みからするといまいちなんですが、それ以外のパートでは、力強く朗々と歌い上げるという古いイタリアン・プログレッシヴにも通じるようなパートがあったり、シンセサイザーとギターによるスリリングな演奏があったりと、飽きさせません。いくぶんリズムがもたついているところも含めて、全体に東欧らしいひなびた叙情と哀愁もほどよく感じられるシンフォニック・プログレッシヴ・ロックだと思います。


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2005/10/25

映画『シン・シティ』

先週末、映画『シン・シティ』を観てきました。

ハード・ヴァイオレンス・バット・スタイリッシュな映画ということで、一部でずいぶん話題のようですね。実際、えぐいシーンがこれでもかと出てくるけれど、そのシーンの映像自体はメチャスタイリッシュでカッコイイという、これまでにあまり観たことのない感覚の映画でした。

アメリカのどこかにある、汚職と欲望と暴力に満ち溢れた架空の町シン・シティを舞台に、3つのお話+αがオムニバス形式で展開されます。これらの話は、舞台がシン・シティであること、時期がおおよそ同じころであることから、それぞれの登場人物が別のお話の画面にちょろっと映りこむことはありますが、それぞれの話自体は独立しています。

自分、こういったオムニバス形式の映画って、そういえばあんまり好きじゃなかったってことを、あとで思い出しました。どうも、映画を観たというよりは、単発のテレビドラマを3つ続けて見たような、あるいは『夜にも奇妙な物語』とかを見たときのような、軽い感じを受けちゃうことが多いんですよね。映画全体としてのテーマがよくわからないものもたまにあるし。物語の重みとか深さとかを感じられないというか。

この映画も、2時間の中に3話+αも詰め込むのではなく、1時間半くらいでひとつの話をじっくりと見せてもらったほうがよかったなぁと思ってしまいます。とくにブルース・ウィリスが主役の話は、もっともっと深みと厚みのあるものになると思うのだけど。悪徳の町シン・シティに生きる「最後の正義」が60歳を越えた老刑事というのは、なかなかハード・ボイルドな渋い設定だと思いますし、演じるブルースもいい味を出してたし。

それぞれの話自体のつながりはあまりないけれど、そこで起きる事件の元凶をたぐるとロアークという権力者ファミリーにつながるという共通項があり(第2話はそうではなかったかしら)、うそと金と暴力にまみれた町でひたむきな愛のために戦う孤独な戦士を主役に置くというスタイルを通すことで、映画全体としてのある種の統一感と方向性を演出しています。

町の権力者であり、すべての悪と暴力と汚職の元凶でもあるロアーク議員が「この世でもっとも強いものは“うその力”だ。うそこそが世の中を動かす」というようなことをいったり、シン・シティの住人(だったか?)が「アメリカほどいい国はないぜ」などといっていたりするなかに、現代アメリカのおごった姿への皮肉と批判を見る、そして、どんなに世の中が悪にまみれ暴力にうもれ汚職がはびころうとも“愛”だけは死なない、“愛”のみがそれらの邪悪な力に立ち向かいうる力なのだ、というのがこの映画のテーマだ、というようにも考えられるのだけど、でもけっきょくマーブ(ミッキー・ローク)もハーティガン刑事(ブルース・ウィリス)も死んじゃったのですよね。悪の根源は、愛の力では根絶できないのですよ。という皮肉も含んでるのかな?

そんなわけで、おもしろいといえばおもしろいのだけど、だからどうだといえばだからどうなのという感じでもあり、単純に雰囲気を楽しむ映画かなぁという気がします。ノワールでハード・ボイルドなアメリカン・コミックをそのまま「動く絵」にしただけで、「映画」を観たという印象は残りませんでした。

ほとんどのシーンがモノクロで、衣装や小物や血など映像の一部のみに鮮烈な赤や黄色といった配色を施すという表現方法はかっこよくはあるけれど、また、それゆえに残酷シーンがそれほどスプラッタにならずに観られるという人もいるけれど、自分としては全編フルカラーの飛び散る血液や脳みそなどで吐き気をもよおしながらそれでも観る、というほうがよかったかなぁとも思います。

しかし、キャスティングは非常によかったですね。ミッキー・ロークはすごいメイクのためにぜんぜんわからなかったけど、ブルース・ウィリスもベニチオ・デル・トロもすごくぴったり。そして驚愕の!イライジャ・ウッド。キャスティングした人、すごいや。ジョシュ・ハートネットの役回りがなんだか中途半端でしたが、これは続編への複線?


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2005/10/24

芝居『胎内』を観てきました

青山円形劇場って、初めていったのですが、本当に舞台が円形なんですね。こんなステージで芝居するの、脚本つくる人も演じる役者さんも大変だろうな。常にお客の誰かが役者さんの背中を観ているわけですから。

というわけで、観てきました。『胎内』。奥菜恵、長塚圭史、伊達暁による3人芝居です。阿佐ヶ谷スパイダースの舞台は何度か観ているので、生の長塚さんも何度か観ているのですが、奥菜さんを生で観るのは初めてです。それがとても楽しみ。彼女、けっこう舞台での評判がいいですからね。伊藤さんってのは、誰だ?

んで、観終わりました。

う~む。演劇というよりも、朗読劇を聞きにいったような感じです。登場人物の3人とも、大量のセリフをしゃべります。戦時中に掘られた洞窟(防空壕)の中に閉じ込められたという設定ですから、舞台も常時薄暗く、ときどき登場人物同士のケンカの際に動きがあるくらいで、それ以外はとくに身振り手振りの演技があるというわけでもなく、ずっとなにやらグダグダとしゃべり続けてます。

なのに、伊藤さんのセリフは早口なうえあまり明瞭ではなく、なにをいってるんだかよくわからない。舞台となっている時代が戦後すぐということで、セリフもところどころレトロ調?なのだけど、その言葉遣いに若い役者3人がうまくなじみきっていない。とくに奥菜さん演じる村子という女性のセリフは、古い言葉遣いと新しい言葉遣いが入り混じり、ちょっと気取った上流お嬢様風の言葉遣いと野卑な売春婦風の言葉遣いが入り乱れ、なんだか気持ちが悪いのです。非常に丁寧な「ですから」に小娘風の「さぁ~」がついた「ですからさぁ~」(これを「だからさぁ~」風にいう)のとか、なんだかむずむずしちゃいます。奥菜さん、発声自体は非常に明瞭でしっかりしており(3人のなかでもっともきちんとセリフが聞き取れた)、感情もうまいこと乗せていたのですが、明瞭な分、元のセリフ自体の気持ち悪さが耳についてしまいました。

そんでもって、やたらと観念的で、なんだか落としどころのない物語。もともと原作は古い作品のようですが、古い作品なんだなってのが強く感じられました。『美しきものの伝説』とかと似た匂いを感じる。こういうの、自分はちょっと苦手かもしれません。

そんなわけでして、観終わっての感想。まずは一緒に観にいった妻から。

「なんでもいいから、誰か早く彼らをあそこから出してやれよ」

そして自分。

「奥菜恵ははっきりした顔だなぁ。綺麗だ」

こんなんで、すみません。

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