CARLO FAVA / L'UOMO FLESSIBILE
Carlo Fava(カルロ・ファーヴァ)、1965年7月6日生まれ、ミラノ出身。彼のことを自分は知らなかったのですが、1993年にサンレモ音楽祭の新人部門に「In caduta libera dall'ottavo piano」で参加したことがあるのだそうです。翌年にはサンレモ参加曲を収録した『Ritmo Vivente Muscolare della Vita』でアルバム・デビューしています。また、Mina(ミーナ)やOrnella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ)らに曲を提供したり、ツアーに同行するなど、裏方的な活動も地道にしていたようです。2000年にはセカンド・アルバム『Personaggi criminali』をリリースしています。
『L'uomo flessibile』は2004年にリリースされたサード・アルバムで、プロデュースとアーティスト・ディレクションをBeppe Quirici(ベッペ・クィリチ)が担当しています。Beppeって、Giorgio Gaber(ジォルジォ・ガーベル)やIvano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)のアルバムなどもプロデュースしている人ですね。New Trolls(ニュー・トロルス)のアルバム『Amici』でベースをひいているのもこの人でしょうか。それとも、同名異人?
それはともかく、GiorgioやIvanoのアルバムと同じプロデューサーということからもなんとなく想像がつきますが、Carloのこのアルバムもどことなくクールなジャズっぽさのような雰囲気をまとったポピュラー・ミュージックになっています。テレビよりも劇場のほうがにあいそうな感じ。
10歳のころから弾いているというCarlo自身のピアノを中心にした演奏に、Carloのちょっとくせのある歌声が乗ります。彼の声は誰かに似ているのだけど、誰だったかなぁ。なんか、薄い紙に強風を当ててぶるぶるいわせたような、ベース・ギターの出す太い低音にスネア・ドラムのネットが共鳴してビリビリいうような、そんなニュアンスが少し感じられるような声。なかなか味わいがあります。曲も、クールさの内に秘めた情熱、渋いロマンティシズムといったものを感じさせ、いい感じです。ほんのりとしゃれたジャズ風味と、落ち着いた大人のカンタウトーレらしい味わい深さが楽しめます。
声も曲も演奏も、どれも噛み締めるほどに旨みが出てくるような味わい深さがあります。味わい深くて、けっこういい作品なのだけど、どうもどこかで聞いたことのあるようなメロディばかりなのが気になります。声も誰かに似ているのだけど、曲もそれぞれに、誰かの曲に似ている気がするのです。あれぇ、この曲、誰かの曲に似てるんだけど、思い出せない。このメロディとコード進行、誰かの曲にあったように思うのだけど、どの曲だったかなぁ。この声、誰かもこんな感じの声でこんな感じの歌を歌うんだけど、誰だったっけ。そんなことばかりが気になって、なんか集中して聴けない。
実際は、誰にも似ていないのかもしれません。どこにでもありそうな、だけど実際に見つけようとしたらなかなか見つけられないような、素直に気分のいいメロディや構成をつくるのが上手な人なのかもしれません。それがCarloらしさなのかもしれません。でも、自分の好みとしては、もっと個性の強い、どこかにいびつさがあるような感じの人のほうが好きだなぁ。
このアルバム自体はロマンティックな都会の夜のような感じで素敵なんですけどね。
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