RANDONE / HYBLA ATTO 1 - A BAROCK OPERA
Nicola Randone(ニコラ・ランドーネ)率いるイタリアン・プログレッシヴ・グループ、Randoneのサード・アルバム。およそ3500年ほど前につくられたHybla(イブラ)という町を舞台にしたトータル・コンセプト・アルバムのようです。3分前後の曲が全部で25曲、切れ目なく演奏される組曲形式になっています。
このグループ、アルバムを出すごとにどんどんプログレッシヴ・ロックらしくなってきています。複雑な構成、鳴り響くメロトロン(サンプリングだと思いますが)、テクニカルな演奏、効果的に導入される男女のオペラ・ヴォイス(バリトンとソプラノかな)、そしてあいかわらず個性的で、Tito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)やPeter Hamill(ピーター・ハミル)などの影がときどきよぎるNicolaのヴォーカル。王道のシンフォニック・プログレッシヴだと思います。
前作『Ricordo』は、よくできたプログレッシヴ作品だけどあまりイタリアという感じはしなかったのですが、この『Hybla』はイタリアらしい強引さと騒がしさ、それに哀愁もあって、なかなかよいです。
ただ、ちょっとリズム隊、とくにドラムの力が弱いかな。うまくは叩いているのですが、自分としてはもっとロック的な力強さも感じさせてほしいと思ってしまいます。その他の楽器にしても、複雑で厚みのあるアンサンブルは聞けるのだけど、それぞれの楽器そのものが出す音に入魂の熱さのようなものが希薄で、その点が少し残念。とはいえ、一音一音にそういった熱さをあまりこめないのは近年の音楽の傾向ともいえるし、このアンサンブルで熱さをこめられたら暑苦しくなってしまう(笑)かもしれませんし、これはこれで良しとしましょう。
Randoneというグループになる前の、Nicola Randone名義のデビュー・アルバム『Morte di un amore』は、21世紀に突如現われたひさしぶりの本格的プログレッシヴ・カンタウトーレ作品としてかなり衝撃度が高かったのですが、Randone名義になってからは、プログレッシヴ・ロックとしてはどんどんクオリティがあがってくるけれど、逆にいえば「プログレッシヴ・ロック」という枠の中にどんどん納まってきているような気もして、衝撃度はどんどん減ってきているともいえます。落ち着いて、安心して楽しめるプログレッシヴ・ロック・グループとして、高値安定ではありますが、次作ではなにか突き抜けたもの、吹っ飛んだものを期待したいな。
ちなみにHyblaの町は、いまではRagusa Ibla(ラグーサ・イブラ)という名で、シチリアにその遺跡が残っているそうです。ユネスコの世界遺産にも登録されているとか。
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