映画『白鯨』
ビデオでグレゴリー・ペック主演の古い映画『白鯨』を観たのですよ。これ、原作本をいつか読みたいと思いながらもずっと読めずにいるお話で、ストーリーとか知らなかったのですけれど、もしかしてすごく宗教的というか、キリスト教的な内容なのかしら。
巨大な白クジラに足を食いちぎられた船長が、白クジラへの復讐に執念を燃やす、というのがお話のベースなのだけど、その船長の名前がエイハブ。そしてエイハブ船長の船に乗り、一緒に白クジラを追い、しかし白クジラの逆襲にあい全乗組員が死んだなかで唯一生き残り、白クジラとエイハブ船長の物語の語り部となった船員の名前がイシュマエル。そのイシュマエルがエイハブ船長の船に乗り込む直前に、白クジラの出現とエイハブ船長の死、そして死した船長がふたたび浮かび上がったときに一人を除いてすべての船員が死ぬ、という予言をイシュマエルに与えたのがイライジャという浮浪者(?)。
エイハブ。イシュマエル。イライジャ。これって旧約聖書に出てくる、イスラエルに異教の神を大量に持ち込んでヤハウェの怒りを買ったイスラエル王のアハブ、アブラハムの最初の子供でアラブ人の先祖になったといわれるイシュマエル、アハブ王が持ち込んだ異郷の神とその信者と戦い滅ぼした預言者エリヤですよね、きっと。
白は「神聖」であることを象徴することが多い色に思えます。白くて、巨大で、これまでに多くのクジラとりたちが挑んだけれど一度も勝てずにいるクジラ。これはヤハウェの象徴?
強大な神に挑むエイハブと、彼の破滅を予言するイライジャ、そしてエイハブの無謀な挑戦と破滅を語り伝える任を背負ったイシュマエル。それぞれが、旧約聖書の登場人物と似た役割を持たされてるんだな。
なかなか重層的なお話のようです。映画では2時間程度でけっこうあっさりと話が進んじゃっているけれど、原作はきっともっといろいろな暗示や伏線があるのでしょう。自分は聖書の知識があまりないので、それらの暗示がわからないだろうけど、でもやっぱり本を読んでみたい。そう思いましたわ。
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