ROGER WATERS / RADIO K.A.O.S
自分はもともとPink Floyd(ピンク・フロイド)が大好きで、高校のころなどは毎日のように彼らのアルバムを聴いていたものでした。どのアルバムもそれぞれに気に入っているのだけど、毎日がプログレッシヴ・ロックづけでも音楽づけでもなくなったいま、とりあえずPink Floydを聴こうと思ったときについかけてしまうアルバムは『The Final Cut』だったりします。実は自分、彼らのアルバムのなかでこれがいちばん好きなのです。いまは。
『The Wall』の大成功とPink Floydの分裂というハザマでリリースされた『Tha Final Cut』は、Roger Waters(ロジャー・ウォータース)の個人的な嗜好が強く前面に出ていて、Pink FloydのアルバムというよりはRogerのソロ・アルバムに近い... といわれることも多いようです。ならば、ということでPink Floyd脱退後のRogerのソロ・アルバムに『The Final Cut』の影を求めて何枚かを聴いたのですが、やっぱり違うのですよね。
Radio K.A.O.Sという架空のラジオ局を狂言回しに、世の中を批判したり皮肉ったりというコンセプト・アルバムになっているらしいのですが、自分は英語がよくわからんし、手元にあるのは輸入盤だしで、曲やコンセプトの内容とか、よくわかりません。ラジオ風に曲の合間でDJが曲紹介らしきことをしているのは楽しいですが、音楽的にはアメリカンな要素(あえてそうしているのでしょう)が強く、ソウルフルというかゴスペル風なコーラスも多用され(Pink Floydでもときどき導入されてましたね)、Pink Floyd的なところはほとんど見つかりません。
でも、Rogerのヴォーカルはあいかわらず味わい深く、まぁ、これはこれで悪くないでしょう。M2「Who Needs Information」などではほのかに後期Pink Floydの香りがする気がしますが、これでギターがDavid Gilmourだったらなぁと思ってしまうのよねぇ、やはり。Rogerの歌とDavidのギターという組み合わせが、やっぱり自分は好きだったのだよなぁということを強く感じてしまいます。
このアルバム、もう少し曲がよければいいのにな。妙に明るい感じが支配しているのはいいにしても(意図があってのことだろうから)、単純に曲そのものにあまり魅力を感じないのが残念なところです。脱退後最初のソロとなった『The Pros And Cons Of Hitch Hiking』や、ソロ3枚目の『Amused To Death』のほうが、魅力的に思います。
けれど自分はけっきょく『The Final Cut』に戻っていくのでした。
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コメント
何となく買いそびれたまま、『The Final Cut』聴いてません。ごめんなさい。
個人的には、『炎』や『雲の影』が好きです。
『モア』ももちろん好きですよ。
投稿: shun | 2005/10/28 23:03
お邪魔します。
私も『The Final Cut』とても好きです。
リック・ライトファンの方には申し訳ないですが、彼がいなくなって大正解。
マイケル・ケイメンのピアノとオーケストレーションがこの上なく美しい。
ポイント・ポイントで出てくるギルモアのギターソロも絶妙でやたら泣いてるし。
アルバム全編に渡って、曲も演奏も崩壊寸前のボーカルも素晴らしいと思います。
『Not Now John』だけは年寄りにはちょっとキツイけど。
とかなんとか言ってますが、昔レンタルレコードをアナログテープにダビングした音源しか持っていません。
このアルバムの紙ジャケ、リマスター版とか出てるんでしたっけ?
投稿: ニョッキ | 2005/10/29 01:20
>shunさん
『炎』はいいにしても、『雲の影』とは、またコアな(笑)。『モア』と並んで、ファンにあまり見向きもされないアルバムですよね。自分も『モア』はけっこう好きですが(映画はわけわからんかったけど)、『雲の影』はほとんど聴いてない。いまだにLPしか持ってないし。その前に『夜明けの口笛吹き』のCD買わなくちゃな。
>ニョッキさん
そうそう、崩壊寸前のぎりぎりな感じがいいのですよね。デイヴィッドのギターもなんだか「ふざけんな!ロジャー(怒)」みたいな鋭さがあるし。ちなみに「Not now John」は自分もちょっときついです(笑)。
紙ジャケとかリマスターとか、自分あんまり興味がなくて、チェックしてないんだけど、きっとめちゃくちゃ音のいいヴァージョンが出てる気がする。ホロフォニック(でしたっけ?)が最大限生きるような形で。
投稿: もあ | 2005/10/29 15:43
もあさん、レス有り難うございます。
確か当時のレコードのオビには「音が見える!」なんて書いてありましたよね。
東芝EMIから紙ジャケ・リマスター版が出ているみたいです。
2,548円。旧譜でこの値段は、ちょっとなぁ。
こういうことしてるから国内CDが売れなくなるんだってことに、どうしてレコード会社の人は気が付かないんだろう。
投稿: ニョッキ | 2005/10/30 12:01