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2005/10/31

さようなら、ビストロ・イデアル

約2年弱にわたって毎週のようにランチに通い続けていた神楽坂のフレンチ・レストラン「ビストロ・イデアル」。ビストロ・イデアルの売りであった、数々の繊細で丁寧で素晴らしく美味しい料理を提供してくれた黒岩シェフは9月末でお店を去りましたが、その後も大園支配人は残り、ビストロ・イデアルのもうひとつの特徴であり強みでもあった、ビストロでありながらビストロらしからぬ丁寧で洗練されていて、だけどあたたかみにあふれるサービスを提供してくれていました。

しかし今日で、大園支配人もお店を去ります。これでオーナー以外、オープン時から「ビストロ・イデアル」を作り育ててきた現場のスタッフは、誰もいなくなります。

ビストロ・イデアルでは本当にたくさんの美味しい料理を黒岩さんにつくってもらい、大園さんには美味しいワインを紹介してもらい、楽しい時間をいっぱい過ごしてきました。できれば大園さんの最終日である今日、イデアルにランチを食べに行きたいところだったのですが、残念なことに今日のランチは臨時休業なのです。ディナーは営業するとのことでしたが、自分は基本的に平日ランチの客で、ランチの時間帯に楽しい思い出がいろいろあるので、やはり最後も平日ランチで締めたい。

ということで、大園支配人の平日ランチ勤務最終日であった先週金曜日に、ランチを食べに行ってきました。

実は先週の月曜にもランチを食べに行ってまして、そのときに、大園さんの平日ランチ最終日である金曜にも必ず食べに来るからねと予告しておいたのです。そのとき大園さんは「お気遣いなく。もしお時間がありましたらお越しください」などと控えめなことをいってたのですが、金曜日の12時少しすぎ、いつもと同じ時間にイデアルに出向くと、普段は店内で作業などをしながら来店客を待っている大園さんが、めずらしくお店の外でディスプレイなどをいじりながらうろうろしてる(笑)。

お店の外で待ってて、出迎えてくれたんですね。

いつもどおりの人懐っこい笑顔で「予告どおりおいでくださり、ありがとうございます」とおっしゃり、一緒に店の中へ。そして、いつものテーブルに着くと、そこにはすでにワイングラスがセットされていました。もちろんいつもどおり、最初から飲む気で来ましたが、大園さんのほうも飲ませる来満々です(笑)。

メニューは魚と肉(南部高原豚)のどちらかをチョイス。魚は月曜日に食べたものと同じだったのと、10月から厨房に立っている椎名シェフはどちらかというと肉料理のほうが得意な感じだし、とくに南部高原豚はシェフ自らが見つけてきたおススメの食材ということもあって、肉料理をチョイスしました。

そして、いつものとおりグラスワインを頼みます。通常だと、料理を決めたあと、それにあわせて赤か白を2種類ほど提案してくれ、そこから選ぶのですが、今回は違いました。たぶん、ほぼ間違いなく自分が肉料理を選ぶと確信していたのでしょう。そのうえで、料理とのバランスもよく、これまでの何回ものやりとりのなかから自分の好みに合う美味しい白ワインを選び、用意しておいてくれたようです。「今日のご気分が白でよろしければ、これをおススメしたい」と、MerlinのMacon La Roche Vineuse Vieilles Vignes 2002を持ってきてくれました。

いつもであれば、客席奥のカウンターでコルクを抜き、そこでテイスティングをして状態等を確認してからテーブルにボトルを持ってきて、グラスに注いでくれるのですが、最後のランチということもあり、ここもいつもと少し違います。テーブルで、目の前で栓を開け、「一緒に楽しみましょう」といっておたがいのグラスに注ぎます。もちろん大園さんはお仕事中なので、彼のグラスの中はテイスティング程度の量ですが、いま開けたボトルのワインを一緒に味わい、香りや風味について語り合い、ソムリエがこれをどういう風な言葉で表現するかといったことを教えてもらったり、このワインがつくられる土地の土壌や、ぶどうと地域と味わいの関係、つくり手のことなど、いろいろなお話をしてくれました。とくにランチ時間の前半は他にお客さんが一組しかいなかったこともあり、比較的ゆっくりと話すことができました。

選んでくれたワインは、もちろん美味しかった。スッキリしているのに豊かな風味があり、料理と一緒にいただくと肉にさらなる旨みを与え、しかもあと口をさわやかにしてくれる。なので、どんどん食べて、どんどん飲みたくなってしまいます。通常であれば昼には1杯しか飲まないのですが(午後の仕事もありますからね)、この日は特別です。大園さんのサーブを受けられる最終日ですし、このランチのために大園さんが選んでおいてくれた美味しいワインです。ということで、もう1杯飲んじゃいました。ついでに、せっかくなのでカマンベールチーズも出してもらっちゃいました。

美味しい食事に美味しいワイン、そして気分のいいサービスが提供される食卓では、すぐに時間が経ってしまいます。昼休みの1時間なんて、あっというまです。しかし、大園さんのいる「ビストロ・イデアル」での最後の平日ランチは、これまでと同じに楽しくゆったりと、そしてこれまで以上に濃密に、時間を過ごすことができました。ありがとう、大園さん。最後に簡単な挨拶をし、またどこかのお店での再会を約束し、ビストロ・イデアルでの最後のランチは幕を閉じました。

ビストロ・イデアルでは、すでにシェフが変わり、その他のスタッフもすべて変わりました。すでに店内に飾られていたパリの写真も取り去られ、別の写真に変わっていました。最後の「ビストロ・イデアル」であった大園支配人も、今日で店を去ります。これで、自分の知っていた、自分がここ数年のなかでもっとも気に入っていたレストラン、「ビストロ・イデアル」は終わりました。

自分にとって「終わった」というだけでなく、物理的にも「ビストロ・イデアル」は終わるようです。オーナーからの告知が一昨日ありました。11月1日より、ラ・カーヴ・イデアル「ラングル」という、別のお店になるそうです。もはや「ビストロ」ではありません。椎名シェフがもともとイタリアンのシェフ(イデアルの前は、やはり神楽坂の人気イタリアン・レストラン「ルオーゴ」でシェフをされていました)ということもあり、フレンチにこだわらない、よりシンプルで気軽な料理を楽しみながらワインを飲む、というコンセプトのお店になるようです。もう1店あるカーヴ・イデアルとどんな差別化をするのかはよくわかりませんが、先に退職されたスタッフさんの言葉を借りれば「西洋居酒屋」風になるのでしょう。それが、オーナーさんがやりたいお店らしいです。

この1か月で椎名シェフにも顔と名前を覚えてもらったようだし、11月以降に「ラングル」のホールに立つ中尾さんは以前からカーヴとビストロの両方で何度かサーブをしてもらい顔なじみでもあるし、今後もランチに手ごろな価格できちんと美味しい料理(とワイン)とサービスを提供してくれるなら、今後も「別の店」として食べにいくことでしょう。

でも、手ごろな価格で手の込んだ本格的なフレンチのメインディッシュをランチの1時間という短い時間のあいだに丁寧なテーブルサービスを受けながら楽しめる稀有な存在だった「ビストロ・イデアル」は、もうないのです。

さようなら、ビストロ・イデアル。これまでの数々の楽しい食卓をありがとう。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
私もよく家族で夜ご飯を食べにイデアルに行っていたのですが、そこまで親しかったわけではありませんので、あまりよく状況がわかっておりません。黒岩シェフや大園さんがどちらのお店にいらっしゃるのか、等ご存知ですか?再びあのお料理とサービスを味わいたいなと思っています。

投稿: ハム子 | 2005/12/27 22:17

こんにちは。

黒岩さんも大園さんも、イデアル退職時にはすでに、どこかの「都内有数のフレンチ・レストラン」でのお仕事が決まっていたようです(別のスタッフの方から聞きました)。ただ、それがどこかは、自分も知らないんです。

イデアルをやめるとき、新しいお店で落ち着いたら連絡しますと大園さんはおっしゃってくださったのですが、いまだ連絡なし(笑)。新しい職場、そしてすぐにクリスマス・シーズン突入ということで、きっとばたばたしてるのでしょう。いずれ、お知らせが届くに違いないと信じて、のんびりと待っているような状況です。

お店のことがわかりましたら、また書きますね。

投稿: もあ | 2005/12/28 09:19

もあさん、お返事ありがとうございます。
何かわかったらぜひ教えてくださいね。赤ピーマンのババロアが恋しいです。
ちなみに、新しいソムリエの中尾さんもとても感じのいい方ですね。ただメニューの数がだいぶ減ってしまったのが残念です。

今年の冬は寒いので、体に気をつけて良い年をお迎えください。

投稿: ハム子 | 2005/12/29 22:03

私は2度ほどしか行ったことがなかったのですが、
また、あの絶妙なフレンチと丁寧なザービスでもてなしてくださる「イデアル」が懐かしくなったので、お店の前を通ったのですが、様相が変わっていたので、調べているとこちらのページに辿りつきました。 大園さんのその後は、何か、おわかりになりましたか? もしご存知であれば、教えてください。

投稿: Ady | 2006/02/18 16:43

ラングル(旧ビストロ・イデアル)は現在、すごく人手不足のようで、しばらく平日のランチはお休みすることになってしまったようです。新しいスタッフや体制にやっとお客さんが慣れて(新しいお客さんが増えて)きたところだったのに残念。

さて、以前の支配人だった大園さんですが、現在は三田の某有名高級フレンチレストランにいらっしゃるようです。お店に確認したわけではないのですが、いくつかの噂と、ネットで調べた状況証拠から、ほぼ確実と思っています。近々予約を入れて調べに(いや、食べに)いくつもりです。

以前のシェフだった黒岩さんは、これも噂と状況証拠からだけの推測ですが、どうやら新宿三丁目辺りにあるビストロ風の気軽なフレンチレストランにいらっしゃるようです。こちらのお店は予約なしでもいけるようなので、時間が取れたときに偵察(笑)にいってこようかと思っています。

投稿: もあ | 2006/02/19 11:33

お久しぶりです。
大園さん、黒岩さんの居場所が徐々に明らかになってきたのですね!偵察されたら、ぜひぜひ教えてください。
最近は、「正統派フレンチで丁寧なサービス」から「カジュアル居酒屋」にシフトしてしまうお店が多いように感じます。レストラン経営も大変そうですね。

投稿: ハム子 | 2006/02/19 22:45

情報提供ありがとうございます。
三田の有名フレンチといえば、なんとなく察しがつきます。 行けるとしたら、ランチかしら??
新宿三丁目のビストロは、ちょっと探してみます。 私の方でも進捗があれば、ご報告しますね! いずれにしても、もう一度お二人と再会したいです。

投稿: Ady | 2006/02/20 00:17

大園さんの働いているお店、ヒントは「三田」と「有名フレンチ」なのですが、個人的に「決定的!」と思っているのは、大園さんがよく使っていた「言葉」です。彼は給仕のときに「失礼します」という言葉をほとんど(ぜんぜん?)使わないのです。料理を提供するときは「お待たせしました」「お待ちどおさまでした」。そして、お皿をさげるときは...?

「綺麗に食べてくださってありがとうございます」

こういうんですよ!

このセリフと、上記ヒントで検索すると、あるお店に行きあたります(しかも今年、この言葉を発しているホールスタッフがいるのです)。大園さんはきっとこの店にいると確信しています。

黒岩シェフのほうのヒントは「新宿」「オーナーがフランス人」「以前は浅草にお店があったらしい」です。これらを検索した結果、あるお店に行きあたりました。こちらは決め手となるものがなく、あくまでも推測の域ですが、かなり高い確率でこのお店にいらっしゃるのではないかと思っています。

投稿: もあ | 2006/02/20 14:09

三田、来月行ってきます!
さっきディナーの予約入れました。
予約の電話を受けてくれたのは、
大園さんでした♪

投稿: もあ | 2006/02/21 18:02

いろいろ情報ありがとうございます☆三田のディナーはいかがでしたか?まずランチで行ってみようと思いつつまだ時間がとれずにいます。新宿三丁目の方は家からも近いので夜食べに行ってみましたが、黒岩シェフがいらっしゃるのかどうかは、わかりませんでした(思えばお顔も良く覚えてないことに気付きました・・・)。でもお料理は美味しかったですよ!

投稿: ハム子 | 2006/05/04 12:43

現在オーヴィユパリの厨房は、黒岩さんひとりで料理をつくってるらしいです。なので、厨房に日本人がいたなら、その人はまず間違いなく黒岩さんだと思いますよ。
自分もまた来月あたり食べにいこうと思ってます。

投稿: もあ | 2006/05/12 14:37

もあさん、お返事ありがとうございます。そうですか、じゃああれは黒岩さんだったのですね!残念ながら、イデアル時代の赤ピーマンのムースはありませんでした(これがあれば黒岩さんってわかる、と楽観していたのです)。オーヴィユパリは予約しなくても気楽に入れる感じでしたので、これからもたびたび夜ごはんを食べに行こうと思います。

投稿: ハム子 | 2006/05/14 12:54

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