芝居『胎内』を観てきました
青山円形劇場って、初めていったのですが、本当に舞台が円形なんですね。こんなステージで芝居するの、脚本つくる人も演じる役者さんも大変だろうな。常にお客の誰かが役者さんの背中を観ているわけですから。
というわけで、観てきました。『胎内』。奥菜恵、長塚圭史、伊達暁による3人芝居です。阿佐ヶ谷スパイダースの舞台は何度か観ているので、生の長塚さんも何度か観ているのですが、奥菜さんを生で観るのは初めてです。それがとても楽しみ。彼女、けっこう舞台での評判がいいですからね。伊藤さんってのは、誰だ?
んで、観終わりました。
う~む。演劇というよりも、朗読劇を聞きにいったような感じです。登場人物の3人とも、大量のセリフをしゃべります。戦時中に掘られた洞窟(防空壕)の中に閉じ込められたという設定ですから、舞台も常時薄暗く、ときどき登場人物同士のケンカの際に動きがあるくらいで、それ以外はとくに身振り手振りの演技があるというわけでもなく、ずっとなにやらグダグダとしゃべり続けてます。
なのに、伊藤さんのセリフは早口なうえあまり明瞭ではなく、なにをいってるんだかよくわからない。舞台となっている時代が戦後すぐということで、セリフもところどころレトロ調?なのだけど、その言葉遣いに若い役者3人がうまくなじみきっていない。とくに奥菜さん演じる村子という女性のセリフは、古い言葉遣いと新しい言葉遣いが入り混じり、ちょっと気取った上流お嬢様風の言葉遣いと野卑な売春婦風の言葉遣いが入り乱れ、なんだか気持ちが悪いのです。非常に丁寧な「ですから」に小娘風の「さぁ~」がついた「ですからさぁ~」(これを「だからさぁ~」風にいう)のとか、なんだかむずむずしちゃいます。奥菜さん、発声自体は非常に明瞭でしっかりしており(3人のなかでもっともきちんとセリフが聞き取れた)、感情もうまいこと乗せていたのですが、明瞭な分、元のセリフ自体の気持ち悪さが耳についてしまいました。
そんでもって、やたらと観念的で、なんだか落としどころのない物語。もともと原作は古い作品のようですが、古い作品なんだなってのが強く感じられました。『美しきものの伝説』とかと似た匂いを感じる。こういうの、自分はちょっと苦手かもしれません。
そんなわけでして、観終わっての感想。まずは一緒に観にいった妻から。
「なんでもいいから、誰か早く彼らをあそこから出してやれよ」
そして自分。
「奥菜恵ははっきりした顔だなぁ。綺麗だ」
こんなんで、すみません。
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