JACULA / ANNO DEMONI
イタリアン暗黒ミサ・プログレッシヴ・バンド(?)Jacula(ヤクラ)の、セカンド・アルバムというか、未発表曲寄せ集め集というか、ディスク・ユニオンではJaculaじゃなくてAntonius Rex(アントニウス・レックス)の作品ということになってるようでもあり、まぁ、そんなアルバムです(どんなアルバムだ?)。要するに、アルバムとしてきちんと意図して制作されたものではないものですね。
Jaculaといえば正式アルバムとして唯一の作品『Tardo pede in magiam versus』がむかしは幻の名盤として有名だったのですが、CD再発されてからはけっこうかんたんに手に入るようになりました。全編に鳴り響くチャーチ・オルガンと、どこかでなにかに憑かれちゃったのではないかのような女性ヴォーカルを中心に、一大暗黒ミサ・ロックを展開するという作風は、やはり個性的で独特のパワーを感じるものでした。その後、さらに暗黒なオカルティック・プログレッシヴ・ロックを演奏するDevil Doll(デヴィル・ドール)が出てきてしまったもので、いま聴くとけっこうちゃちっぽく聴こえてしまうところはありますが。
で、『Anno demoni』です。あいかわらずチャーチ・オルガンが全編に鳴り響いてます。でも、それだけ。なんだかなぁ、ロックとしてのエナジーとか、パッションとか、そういったものを感じないんですよ。そもそもリズム隊がリズム隊としての役割をほとんど与えられていなくて、SE的な使い方になっているので、ロックとしてのリズムやビートがないのです。『Tardo pede in magiam versus』ではもう少し暗黒パワーとそれを推進させるロックのリズムがあったと思ったのだけどなぁ。
正式なディスコグラフィでいうと、Jaculaは『Tardo pede in magiam versus』しかリリースしておらず、その後グループはAntonius Rexへと変化して『Zora』をリリースするわけですが、そういえば『Zora』も暗黒な雰囲気を持ったただのロックといった感じだったような記憶があります。この『Anno demoni』と同じですね。と思ってブックレット裏の曲名リストを見ると、どれもクレジットがAntonius Rex名義になってます。そうか。これ、ジャケットではJacula名義だけど、実質はAntonius Rexのアウトテイク集なのか。Jaculaよりもさまざまな面で劣るAntonius Rexの、正式アルバムに入らなかった未発表曲を寄せ集めたCDと考えれば、納得もできますね。
そんなわけで、暗黒な雰囲気だけで、これといって精神的高揚やロックとしてのカタルシスといったものも感じられない、Morte Macabre(モルト・マカブル)と同様の退屈さを感じてしまう作品でした。頻繁に使われている「夜の密林で鳴く鳥」のようなSEも鬱陶しく、だんだんいらいらしてきた。
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