BLUVERTIGO / ZERO
自分がふだん音楽を聴く時間は、主に朝の通勤電車の中です。ポータブルCDプレイヤーをバッグに入れて、手持ちのCDをヘッドフォンで聴いてるの。
ただ、うち、けっこう職場に近いんですよ。乗り換え利用の電車2本でいくのですが、だいたい30分程度で会社に着いちゃう。つまり、CDを聴ける時間が30分程度しかないわけです。
むかしのアルバムは30分~40分程度のものが多かったので通勤時でも大方が聴けるのですが、最近のアルバムは収録時間が長くて、いつも半分くらいしか聴けません。困ったものだ。
そんなわけで、このBluvertigo(ブルヴェルティゴ)のアルバムも、今朝は半分しか聴けませんでした。だって、総収録時間が68分とかなってるんだもん。長いよ。
ベーシストのMorgan(モルガン)率いるBluvertigo。イタリア本国でなかなか人気のある若手グループと思っていたのですが、気がつけばもう中堅といってもいいくらいに長く活動していますね。なのにうちには1枚もアルバムがなかったので、ネットショップで何枚か売られているもののうち、いちばん安い値段がついてたもの(笑)を買ってみました。1999年の作品のようです。
Bluvertigoに対して自分が持っていたイメージは、オムニバス盤などに収録された曲や、Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)の作品でコラボレートしたときの曲などから、“デジタリックでラウドなニューウェーヴ風ロック”というものだったのですが、このアルバムを聴いて、あながち間違いじゃなかったなと再確認しました。
リーダー(なんだよね?)のMorganがベーシストだからということもあるかもしれませんが、ベースの音がでかい。しかも重い。引きずるような重低音が、高校生の頃とかにたまに聴いていたニューウェーヴやオルタナティヴ・パンクを思い出させます。ベースを中心にした、このどっしりした重低音を屋台骨に、上に乗っかるシンセサイザーのわざと薄っぺらい音づくりとのコントラストが不思議にいい感じ。このぺらぺらしたシンセもあの頃のニューウェーヴ・パンク、Stranglers(ストラングラーズ)とか、あるいはSoft Cell(ソフト・セル)とかを思い出します。
Massimo Volme(マッシモ・ヴォルメ)などもそうですが、こういったタイプの曲は、若いころは聴いていたこともあるのだけど、最近はさっぱりです。どちらかというと、いまは興味を持てないタイプ。あまり得意ではないタイプ。
ではあるのですが、やはり高い人気を持つグループには、それだけのものがあります。Bluvertigoの曲には、ただのニューウェーヴ/パンク系といって済ませてしまうにはもったいない、なにかがあるのです。それは、ときおり現われる美旋律だったり、妖しいエロティシズムだったり。
まだアルバム前半しか聴けていないのですが、M3はほんの少し懐かしい感じのなだらかな歌メロがデジタリックな演奏に乗っかっていて、聴いていてひきこまれます。M5ではエロティックなベースラインの上にガラスのように透明なピアノの響きがかぶさり、初期の筋肉少女帯を思い出してしまいました。M6はBluvertigo featuring David Bowie(デヴィッド・ボウイ) with 筋肉少女帯みたいな印象だし。
イタリアらしい感じはほとんどないのですが、全体にいかにもヨーロッパな雰囲気、歴史と伝統を背負った重さのようなものが感じられ、それが現代的なデジタル・サウンドとうまく調和している。そんな印象を受けました。これはこれで、なかなかいいです。イタリアンじゃないけど。
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