DENOVO / VENUTI DALLE MADONIE A CERCAR CARBONE
シチリア州カターニア出身のポップ・ロック・グループです。1984年から1989年までのあいだに5枚ほどアルバムを出しているようで、この『Venuti dalle Madonie a cercar Carbone』は彼らの最後のアルバムのようです。同じシチリア出身だからか、アーティスト・プロデュースをFranco Battiato(フランコ・バッティアート)が行なっています。
Denovo(デノーヴォ)の中心メンバーは、Mario Venuti(マリオ・ヴェヌーティ)とLuca Madonia(ルーカ・マドニア)のふたりなのでしょう。どちらもグループ解散後、ソロ・アーティストとしてアルバムを何枚か出しています。ふたりとも、ヴォーカルをとり、ギターを弾き、キーボードも演奏します。
ヴォーカルを取れるフロントマンがふたりいるということで、MarioとLucaによるヴォーカルのコンビネーションとかハーモニーとか楽しめるのかなぁと思ったのですが、少なくともこのアルバムでは、そういうことはありませんでした。Denovoの他のアルバムは聴いたことがないので、以前からそうなのか、なにかしらグループ内での不和があってこうなったのか(最後のアルバムですしね)はわかりません。全部で10曲が収録されているのですが、Lucaの曲とMarioの曲が順番に5曲ずつ配置されているところ、そして、ざっと聴いたところ、それぞれに自分の書いた曲でしかヴォーカルをとっていないように思われるところも、なんとなく解体寸前だったのかなぁと思わせます。
アルバムのオープニングはLucaによる「Buon umore」。アコースティック・ギターのアルペジオから始まるイントロが印象的です。どことなくミステリアスな雰囲気もたたえていて、このあとの展開が期待されます。
... しかし。
う~ん、盛り上がらんなぁ。Lucaは深みと粘り気のある、なかなかいい声をしているのですが、こういった声はドラマティックな展開やパワフルなビートにのせたほうが活かされるような気がします。しかし、Denovoの(Lucaの?)曲はメロディも構成も平板で、妙に淡々としてるのです。せっかくの印象的なイントロのアンサンブルも、曲の中でもずっと頻繁に使われるため、曲が終わる頃には新鮮さを失ってしまう。
その後の曲も、どれも華やかさに欠け、なんだか単調で平板です。Marioの書く曲にはそれでもほんの少しパンキッシュな風味が混ざったりしてアクセントになることもあるのですが、Lucaの曲はどうもオールド・スタイルな雰囲気です。そもそもLucaのヴォーカル・スタイル自体が、実はちょっとオールド・スタイルなのかもしれません。またFrancoがプロデュースということもあってか、曲によってはFranco風の細かいパッセージを弾くバッキング・アレンジなども聞かれるのですが、これもあまり曲の魅力を高めているようには感じられない。
そんなわけで、これといった印象が残らないまま、アルバムの最後まで来てしまいました。最後はMarioの「I promessi sposi」という曲なのですが、これは中盤からオーケストレーションがほどよく曲に厚みを持たせ、少しばかりロマンティックな雰囲気をつくります。この曲はまぁまぁかな。
けっきょく、アルバム冒頭のイントロと、アルバム最後の雰囲気だけがよかったような、そんな作品でした。MarioもLucaも、ソロ・アルバムはもう少しいい感じだった気がするのだけどなぁ。
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