BIJELO DUGME / USPAVANKA ZA RADMILU M.
Bijelo Dugme(ビジェロ・ドゥグメ)は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身のロック・グループ。おそらく、プログレッシヴ・ロックのファン以外はまったく知らないでしょう。でも、リーダーのGoran Bregovic(ゴラン・ブレゴヴィッチ)の名前は、ユーロ・ポップスのファンならご存じかもしれませんね。コンポーザーとして(シンガーとしても?)ヨーロッパでずいぶん人気があるようです。何年か前のサンレモ音楽祭のコンピレーションCDにも彼の曲が収録されていました。
日本ではおそらくプログレ・ファンにしか名前を知られていないであろうBijelo Dugmeですが、じゃぁプログレ・バンドかといえば、そうじゃないように思います。少なくとも、このアルバムを聴くかぎり。もっとシンプルでストレートなロックですね。非常にヘヴィで力強いのだけど、あまり重苦しさや暗さは感じない、パワフル・ハード・ロックがベースなんじゃないかと思います。
歌詞は、ボスニア語? 何語というのかわかりませんが、英語とかではなく、いわゆる「現地の言葉」なんでしょう。この、ふだんあまり聞きなれない言葉の独特の響きが、なかなか心地よいです。スウェーデン語やハンガリー語よりもロックのリズムや躍動感に乗りやすい言葉なような気がします。
ただ、もしヴォーカルがボスニア語?ではなく英語だったら、あまり「東欧のグループ」ということを意識させないかもしれません。リリースは1983年のようで、リリース年を考えると音づくりや曲想が古く、その点で英米の当時のロックとは違うという印象は受けそうですが、1970年代の先進的なイギリスのハード・ロック・グループだよといわれたら、それはそれで納得してしまうかも。
いくぶんブルージーなヘヴィ・ロックをベースに、おそらくこの時代の英米のロックの影響なのでしょうか、ときどきシンセサイザーのカラフルな音色が紛れ込んでいて、あの頃にはやったイギリスのポップ・ロック、ABCとかFlock of Seagulls(フロック・オブ・シーガルズ)とかSpandau Ballet(スパンダー・バレー)を思い出させます。
M8「Ne Placi」やラストのインスト曲「Uspavanka Za Radmilu M.」はバラードではありますが、これもプログレッシヴ・ロックのバラードではなく、HR/HMグループのバラードといった印象です。ヨーロッパの哀愁というよりも、イギリス風な哀愁、というか、個人的にはThe Animals(ジ・アニマルズ)の「朝日のあたる家」を思い出してしまいました。
詳しい人によると、Bijelo Dugmeには数々の名曲バラードがあり、そこではメロトロンなどが使われ、それゆえユーロ・プログレッシヴのファンに愛されているらしいです。また、これまでにけっこうな枚数のアルバムをリリースしていますが、どのアルバムにもたいてい1曲はそうした名曲バラードが収録されているのだけど、このアルバムにはそういった曲がなくて残念、といった評もあります。個人的な感想としては、たしかにプログレ・ファン的な心をくすぐる曲は見つけにくいアルバムでしたが、自分はもともとハード・ロックも嫌いではないし、これはこれでかっこいいなぁと思います。
あれ、そういえば自分、Bijelo Dugmeのバラードを集めたベスト盤って、持ってたはずだぞ。あとで聴いてみよう。
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