サービスなお話が見たい・読みたい
最近、ひさしぶりにコミック『ソムリエ』を読み返しています。これ、やっぱいいお話ですよね。
連載時は「ワインの知識・薀蓄がつくマンガ」として、ワイン・ラヴァーやワイン販売店などのあいだで話題になったそうですが、たしかにワインについてのバックストーリーやらその他もろもろが楽しく読めるというおもしろさはあるのですが、自分はそれよりも、レストランでのホール・サービスに真剣に向き合い、取り組み、行動をしていく「ソムリエ」というサービス・スタッフの物語として、このお話が大好きなのです。主人公のソムリエは、ワインの薀蓄などもすべて「よりよいサービス、お客さんに望まれ喜ばれるサービスを提供するため」の道具として扱っているのがいいです。
ワイン・マンガといえばその後、『新・ソムリエ 瞬のワイン』という『ソムリエ』の続編ができたり、最近では『神の雫』が話題だったりします。『新・ソムリエ』は連載時に少ししか読んだことがないのだけど、まぁ、おもしろいといえばおもしろい。『神の雫』は単行本が2巻まで出ていて、2巻とも持っているけれど、これもおもしろいといえばおもしろい。ただ、これらのマンガのおもしろさは、「ワイン・マンガ」としてのおもしろさなんですよね。ワインを造る人とそれを味わう人のドラマが主になっていて、サーブする人とサーブされる人の間のドラマは出てこない。「サービスのマンガ」ではないんです。
自分は、サービス業、とくに飲食店のホール・サービスが好きです。以前レストランで働いていたし(つらくて逃げ出しちゃったんだけどね。:-P)、レストランを辞めたいまも、お客さんとして客席に座って、ホール・スタッフの動きとかを見ているのが好き。一生懸命「サービスの仕事」に取り組む人が好きです。『ソムリエ』を読んでいると、サービスの仕事の楽しさ・素晴らしさを思い出し、あらためて感じます。
こういった「サービスの仕事自体のドラマ」って、実はあまり多くないように思う。『王様のレストラン』だって、舞台はレストランで主人公?はギャルソンだけど、サービスそのものがテーマではないですよね。仙石さんのテーブル・サービスをもっともっとたくさん見たかったのに。
その点、数年前のテレビドラマ『高原へいらっしゃい』(リメイク版)は、ドラマの主題はホテルの再建だったけれど、そこで働くスタッフたちが真剣にお客と仕事に向き合う姿がきちんと描かれていて、「サービスのドラマ」としてなかなか心にしみました。出演者の可愛らしさばかりが話題になった?『マイ リトル シェフ』も、主人公はホール・スタッフではなくシェフだったけれど、ひとりひとりのお客に一生懸命に「より喜ばれるものを」とメニューを組み立てていく姿が「うん、このほうがステキ☆☆☆」。また、ホテル業界関係者のあいだで話題になった『東京ワンダーホテル』も、全体を通してのドラマは若者たちの挑戦がテーマみたいでしたが、白州さんが1日コンシェルジュ?になる回は素晴らしかった。熟練したサービス・パーソンならではの観察力と推理力と気配り。ああいうのを見ると、もうめろめろです。
こういった、サービスという仕事や現場を通じてサービス・スタッフとお客さんとのあいだに生まれるドラマを楽しめる映画・マンガ・小説って、ほかにはどんなものがあるのでしょうか。自分はいま、サービスなお話がとっても見たい・読みたい状態なんです。
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コメント
こんばんは、そしてはじめまして。
トラックバックをさせていただいた竜之と申します。
神の雫、面白いですよね!僕も毎号読んでいます。
以前僕はホテルのレストランで働いていたこともあり、
「ソムリエ」はワインの漫画というよりプロのサービスマンでもある、ソムリエのお話
として楽しく読んでいました。
対してこちらは正真正銘のワイン漫画。
駆け出しのバーテンダーでもある僕はワインの知識を深めるために、
これまた楽しく読んでいます。
他の飲食業関係の漫画では、スーパージャンプに連載中の「バーテンダー」、
小説ではオキシローさんの小説なんかいかがでしょう?
投稿: 竜之 | 2005/08/26 02:42
こんにちは。『バーテンダー』っていうのは『ソムリエ』と同じ城アラキさんが原作のものでしたっけ? 今度探してみます。オキシローさんって知らないや。これも探してみますね。ありがとうございます。
投稿: もあ | 2005/08/28 13:06