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2005/08/26

AMEDEO MINGHI / I RICORDI DEL CUORE

うちには2000枚を少し越すくらいのCDがあるのだけど、複数枚のCDを持っているアーティストって、あまりありません。ま、アルバム1~2枚で消えてしまうアーティストが圧倒的に多いからということもありますが。そういったアーティストでなく、ある程度の活動期間にある程度の枚数を出した人でも、コンプリートに近いカタログをそろえているアーティストになると、Claudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)やPaolo Vallesi(パオロ・ヴァッレージ)、Vincenzo Spampinato(ヴィンチェンツォ・スパンピナート)、New Trolls(ニュー・トロルス)、Anonimo Italiano(アノニモ・イタリアーノ)など、ごくわずかです。

そんななかでAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)は、CD化されている作品のほとんどを持っている、数少ないアーティストのひとりです。

なんだろうなぁ。なにかが「すごくいい!」というわけではないのだけど、ついつい買ってしまうんだよなぁ。曲調とかメロディとか、ずっとおんなじで、どのアルバム聴いてもこれといって代わり映えしないのだけど。とくにドラマティックだったりすっごくメロディアスだったりということもないのだけど。歌がめちゃくちゃうまいとか演奏・アレンジがすごく凝っているといったこともないのだけど。だけど、なぜか買ってしまう。

そうやってつい集めてしまったAmedeoの作品のなかでも、個人的に最高作と思っているのが『I ricordi del cuore』です。

初期のころのAmedeoは、アコースティック楽器や生のオーケストラなども導入した、あたたかみと優しさをたくさんまとったポップスを聴かせてくれていたのですが、その後は演奏がシンセサイザーやキーボード中心となり、やたらと壮大なキーボード・オーケストレーションをバックにシリアスな感じもまとうようになっていきます。その壮大シリアス路線の頂点に立つのが、このアルバムだと思うのです。

もちろん、Amedeoの優しい声は変わらないし、メロディの単調さもたいして変わらないし、あたたかみを残した曲もあるし、いくらか軽やかな曲もあるのだけど、ぶわぁ~っと鳴り響く壮大なキーボードをもっとも堪能できるアルバムではないかと。

このアルバム後は、演奏自体はさらにコンピュータ・プログラミング・キーボード集中化が進み、シンプル(単調ともいう)になり、そこに初期のような甘さやあたたかさが追加され、もやぁ~んとした甘いポップスがメインになっていきます。メロディの単調さはそのままに。それはそれで悪くないのだけど、もともとメロディが地味で単調な人なので、演奏面でのメリハリや強い引きといったものが薄れると、曲としてはあまりおもしろくなくなっちゃうわけで。歌声は変わらず魅力的なんだけどね。

というわけで、自分としてはやはり、デビューからだんだんと道を探してきたなかでついに頂点を極めたと思われるこの作品までが好きなのです。そこから先は、この作品にたどり着くまでに見つけてきたことややってきたことを、少しずつ再構築・再生産しているだけのような気がして。

Amedeoの作品のなかでも重く沈んだ感じが強い、どちらかというと異色な肌触りの作品かもしれませんが、ここにはイタリアの、ヨーロッパの、ドラマとロマンを感じるのだなぁ。うん、いいアルバムだと思います。

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コメント

Pensiero!のレビュウでも「Amedeoの作品でも、個人的に最高作」と
書かれていて、前々から気になってましたが、こちらの日記を機に購入しました!
十回くらいは聴きました・・・重い、というかクドい(笑)Amedeoさんの持ち味を
イヤという程感じます。曲では六曲目が印象的です・・・何と言うか、
頭から聴いていると、この曲が始まる辺りでその叙情の洪水に
「まだやるのか!?」みたいな気持ちになります(?)。そこがいいんですが。
あと、個人的にはこの人の音楽を聴いていると、切なくなる感情が
胃腸に来ます(?)・・・胸が苦しくなる、のではなく、お腹が痛くなる・・・ヘンだ(^-^)。
各曲ごとのメリハリ、という意味では“~rosa”の方が上かな、という気もします。
でも、やっぱり、歌詞が知りたいなぁ。

そうそう、紙ジャケ・リマスターされたR.フォッリの2nd(私はメチャ好きです!)の
ライナーで片山伸さんがU.トッツィの“Donnna~”は次回のユーロピアンロック
コレクションの最有力候補、と書かれてました・・・楽しみです!

投稿: 岩橋 信之 | 2005/09/02 01:01

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