デーモン小暮閣下 / WHEN THE FUTURE LOVES THE PAST~未来が過去を愛するとき~
元聖飢魔IIのフロント悪魔(笑)、デーモン小暮閣下のソロ作品です。聖飢魔II自体は1999年末で当初予定だった「地球制服」が完了したとして活動を停止してしまいましたが、デーモンさんはその後も音楽をはじめ幅広い分野で活動を続けてますね。ちなみに聖飢魔IIは今年、地球デビュー20周年だとかで再結成ライヴなどが予定されているらしい。
自分、けっこう聖飢魔IIって好きだったんですよ。あのキャラクターから少し「お笑いヘヴィメタル」的な印象を持たれているようなところもありますが、曲、というか歌メロがけっこう美しいものが多くて。しかもスタイルの違う、かつ技術的にもうまいギタリストがふたりいるし、リズム隊もしっかりしてるし。どちらかというとブリティッシュ・スタイルをベースにした、意外とドラマティックなハードロック/ヘヴィメタルですよね。
デーモンさんのソロ作は、小暮伝衛門名義によるソロ1作目『好色萬声男』を持っているのですが、これは一時よく聴いてた。HR/HMの聖飢魔IIとは違う、いわゆるポップス系の作品ですが、全体に漂うドラマティックな感じと、ところどころで入るお遊び、和楽器との効果的なコラボレーションなど、デーモンさんの音楽的興味の広さ、奥行きの深さを感じさせるに充分だったと思います。
その後、すっかり日本の音楽から遠ざかっているもので、デーモンさんの歌声を聴くのはひさしぶりなのですが、以前にくらべると少しパワーが落ちたかな。とはいえ、いまでも立派にいい声をしてますね。ファルセットのシャウトも健在だし。
ただ、『好色萬声男』とくらべるとなぁ、収録されている曲自体の魅力がちょっと薄いように思う。あいかわらず和楽器をたくさん配置して、ロックと雅楽?とジャパニーズ・ポップスを混ぜ合わせたような音楽を展開してくれてはいるのだけど、もともとの歌メロ自体にあまり魅力を感じないのですよ。『好色萬声男』にあった「縁」のような名曲がないのが弱点かなぁ。また、お遊びパートもそれほどはじけてないし。
なんとなく、こぎれいにまとまった感はあるのだけど、その分、心の中まで強く訴えかけてくるようなことがなくなってしまった感じで、その意味でちょっと平凡な作品になってしまった印象が残りました。
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コメント
私も好きでした、聖飢魔II(^-^)。
覚えている限り初めて聴いたHR/HM的なサウンドでしたが、歌メロの美しさや、よく聴くと中々端正なサウンド作り(HR/HMとしてのバランスは保ちつつ)に心惹かれて、“有害”までは熱心に追いかけてました。シングルのB面に名曲も多く、そんなトコロも好きでした。うまく言えませんが、一部のHR/HMバンドだけが体現できる、ある種のヒロイックなメロディー感覚が、一時の彼らには確実にあったと思います。
・・・と、いうワケで(?)久々に聴いてみましたが、やっぱ好きかも(^-^)
投稿: 岩橋 信之 | 2005/08/01 22:59
聖飢魔IIといえば、デビュー・アルバムが雑誌『Burrn!』で紙上初?の「0点」をもらったグループとして有名ですね(笑)。ま、雑誌への事務所のアプローチのしかたがまずかったんでしょうけれど。
あのキャラと、「蝋人形の館」のようなポップな曲がヒットしたこともあって、ロック・グループとしてけっこう軽めというか「お子様向け」みたいに受け取られているところもあるようですが、実はどうして、ときにプログレッシヴな感覚すら漂わせる、意外と本格的なロック・ミュージックを演奏してたと思います。そこにエンタテインメント性もきちんと盛り込んだという点で、非常に優れたグループだったよなぁと。
『有害』は彼らにしては珍しくアメリカンな要素が強い感じがして、自分はあまり好きではないのですが、他のアルバムはどれもけっこう好きだなぁ。さすがに初期の2枚はいま聴くと少しつらいところがありますけれど。
投稿: もあ | 2005/08/03 09:19