LOY & ALTOMARE / PORTOBELLO
Checco Loy(ケッコ・ロイ)とMassimo Altomare(マッシモ・アルトマーレ)によるデュオ?アルバム。Massimoはカンタウトーレとしてソロでもアルバムを出していて、うちにも1枚あった気がするのだけれど、Checcoのほうはどうなんだろう? 自分にははじめて聞く名前。
アルバム収録曲のすべてがChecco&Massimo作となってます。すべての曲で、ふたりでヴォーカルをとっています。アレンジもCheccoとMassimoの連名です。なので、このアルバムではふたりの立場は完全に対等なのでしょう。かつ、本当にふたりで曲づくりから仕上げていったアルバムなのでしょうね。その点で、アーティスト・クレジットはDalla/Morandiと連名だったけどアルバム内でふたりが絡むことのほとんどなかったLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)とGianni Morandi(ジァンニ・モランディ)のケース、あるいはAntonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)とFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)の双頭グループかと思いきや個々の作品をひとつのアルバムに押し込んだだけ(という印象)だったTheorius Campus(テオリウス・カンプス)とは違いますね。
収録されている曲はどれも、アコースティック・ギターを中心にしたフォーク・タッチのもの。ときどき思い出したようにエレキ・ギターの音も聞こえますが、基本的にはアコースティック・ギターとベース、ストリングス・オーケストラをバックにふたりが交互にヴォーカルをとったりコーラスを聴かせたり、といったかたちになっています。ドラムも入ってはいますが、控えめにリズムを支える程度の役割ですね。
なので全体に、とても地味かつおだやかです。ときにほのぼのとすらしてしまいます。これといってドラマティックな盛り上がりもなく、ふつうに平和であたたかな日々を過ごしているなかにいるような、そんな印象です。刺激を求める人には退屈かもしれないけれど、とくになにごともなく穏やかな日々が過ぎていくことは幸せなことなんだと思える人には、こういった音楽も幸せに聴けるのではないでしょうか。
イタリア・ファンやカンタウトーレ・ファンというよりも、フォーク・ミュージックのファン向きな印象はありますが、それでもストリングスのオーケストレーションはたおやかで美しく、ときおり使われるフルートの優しい音色もどこか幻想的に響きます。フォーキーな感じとやわらかく魅惑的なオーケストラが優しくからむM5「Insieme a me tutto il giorno」などは、なかなか心ひかれる曲だと思います。
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