YAMASHTA/WINWOOD/SHRIEVE - GO
パーカッショニストのStomu Yamashta(ツトム・ヤマシタ)を中心にしたプロジェクト?「Go」のファースト・アルバム。このアルバムではSteve Winwood(スティーヴ・ウィンウッド)、Michael Shrieve(マイケル・シュリーヴ)との連名になっていますが、これよりあとの作品ではたしかStomu Yamashta's GOというグループ名になっていたはず。ツトムがなぜStomu(ストム?)なのか、ヤマシタがなぜYamashta(ヤマシュタ?)なのかは謎です(笑)。
のちにStomu Yamashtaは念仏系というかヒーリング系というかアンビエイト系というか、そんなような音楽をやるようになって、日本でもお寺で声明(しょうみょう)と一緒にコンサートをしたりするようになるわけですが、このアルバムでは1970年代のブリティッシュ・プログレッシヴの香りがぷんぷんします。
当時は最先端の楽器だったシンセサイザーを多用し、夜空に広がる満天の星のあいだを漂うような、宇宙空間を思わせるような雰囲気を醸し出しつつ、叙情的なメロディをかぶせていく。初期から中期にかけてのPink Floyd(ピンク・フロイド)風な感じですが、ギターがブルースではなくジャズ風なのが違いますね。ゆったりとした叙情部分も、大英帝国の牧歌的な田園風景もしくは妖精の住む神秘の森を思わすようなものではなく、東洋的な香りがするのは、やはりStomuが日本人だからでしょうか。この叙情はFar East Family Band(ファー・イースト・ファミリー・バンド)などにも通じると思います。
しかし、アルバム全編を通してスペーシー&叙情なわけではなく、リズミックなパートもあり、ジャジーなパートもあり、けっこうなんでもあり。だけど、アルバムとしてばらばらな感じはあまりなく、聴けてしまう。こういうところがプログレッシヴ・ロック・アルバムの楽しみのひとつだったりします。
そして、歌ものプログレ?好きな自分にとってうれしいのは、やはりSteveのヴォーカル。Trafic(トラフィック)でもそうでしたが、彼の歌声ってほんと、味わいがあるというか、心があるというか、魅力的。Procol Harum(プロコル・ハルム)のGary Brooker(ゲイリー・ブルッカー)などとともに、好きなブリティッシュ・ヴォーカリストのひとりなのです。
インスト・パートの多いアルバムですが、Steveの歌声が入ったとたんに、音楽に何か新しい生命が宿るような、そんな印象を受けます。また、このくらいの年代のシンガーって、英語の発音が綺麗。ときには日本人が歌ってるのかって思うくらいクリアな英語ですが、これがある種の朴訥さというか素朴さというかを醸し出してて、歌にあたたかみとやわらかみを加えるのですね。
うちにあるのはノイズだらけのLPで、ノイズがプチプチとうるさいのですが、それも含めてなんとなく気持ちのいいアルバム。何も考えず、ぼやんと聞いていたいな。
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