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2005/02/11

イタリア人とLPのトレードしました

こんなものまでCD化!? ってくらいいろんなものがCD再発される今日この頃ですが、それでも「名作」と呼ばれていたりするのにいまだにCD化されないままの作品というのもいっぱい残ってるわけで、そういうのはLPを探すしかないのだけど、LP自体もう全時代の代物で、それはそれで見つけにくいわけです。だからといってプレミア価格を払ってまでマニアさんと取引する気は毛頭ないので、これはもう奇跡的にCD再発されるか、なにかの間違い?でどこかで偶然見つけるかといったことがないと一生聴く機会はないかもなと思うアルバムがいくつかあるのです。Renzo Zenobi(レンツォ・ゼノービ)とかSandro Giacobbe(サンドロ・ジァコッベ)とかUmberto Balsamo(ウンベルト・バルサモ)とかね。

Tito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)の『Io ed io solo』もそんななかの1枚。『Orfeo 9』はCD化されているのだけど、同じFonit Cetraからリリースされたこれと次作の『Concerto per un primo amore』はぜんぜんCD化の噂すら立たないのですよ。なかなかの名盤といわれているのに。

幸いなことに『Concerto per un primo amore』は再リリースかなにかのLPが1990年代だったかに日本に入ってきたときに手に入れたのだけど、このアルバムで自分が彼の素晴らしさを知ったときには『Io ed io solo』のほうはとっくに廃盤で、ずっと「聴きたい!」と思いながらもアルバムそのものすら目にすることもなかったのですよ。

もうずいぶん前になるけれど、Pensiero! websiteに『Orfeo 9』のレビューがあるのをTito Jr.が見つけたらしく、本人からメールをもらったことがあります。そのときに『Concerto ~』を持っているが、このアルバムは素晴らしい、『Io ed ~』も同様に素晴らしいという評判だが聴けずにいる、CD再発の可能性はないかとたずねたことがあります。Titoの回答は、マスターテープはFonit Cetraにあって、自分にはどうにもできない、自分の手元にもカセットテープしかないんだ、それに、あの作品にはいい部分がたくさんあることはわかっているけれど、自分が若いときにつくったもので、実は納得できない部分も多いんだ、あれはポップ作品だけど、自分の本質はポップ・オペラにあるから、積極的にあれを再発するという気持ちにはなれないんだよ... というようなものでした。なのでいっそう、よほどなにかの偶然かなにかがないと聴く機会はないだろうなと思っていたのですよ。

しかし、偶然があったのです。

ある日、モデナに住むイタリア人からメールが来ました。日本語が読めないのでわからないのだけど、お前のサイトに掲載されているアルバムは、お前が売っているものなのか? って。そういうメールはときどき来るので、いつもと同じように「自分はただのファンで、ウェブに載せてるアルバムは売り物じゃない」と返事を出したのだけど、彼はしつこかった(笑)。自分はFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・で・アンドレ)のコレクターなのだけど、お前がウェブに載せてるFabrizio + PFMのライヴアルバムの日本盤は持っておらず、ずっと探していた、どうしてもほしいので売ってくれないか、もしくは同じアルバムのイタリア盤LPもしくはCDとのトレードではどうか、あるいはほかにお前がほしいものがあればそれとのトレードでもいいぞと。

自分はFabrizioコレクターでもヴィニール・コレクターでもありません。このアルバムはたまたまむかしに買ったから持ってるだけで、LPだと聴くのが面倒なのでMDにコピーしてあり、もっぱら聴くときはそっち。もとのLPなんて長いことラックから出してません。それにこのアルバム自体はCD化されてて、その気になればCDを手に入れるのもそれほど難しくないのだけど、MDにコピーしたものがあるからそれでいいかくらいの執着度なわけです。

そこで、彼に返事を出しました。Stefano Polo(ステーファノ・ポーロ)のCD、Antonio Decimo(アントニオ・デーチモ)のCD、Tito Schipa Jr.の『Io ed io solo』のどれかとならトレードしてもいいよと。これらはどれも現在入手困難で、自分は物自体を見たことがないのです。彼もTito以外は名前すら聞いたことがないといってました。でも何とか探してみるから、少し待っててくれと。

そして2週間ほどしてメールが来たのです。Antonio DecimoのCDは手に入れられそうだと。そしてさらにその数日後、TitoのLPも手に入れられそうだと。どっちも手に入りそうだけど、どっちがほしい?と。

マニアのネットワークって、すげぇ。びっくりしたわ。さすがにStefanoは見つけられなかったけど、他の2枚は見つけちゃったんですよ。

あせったのはこっちです。どっちもほしい。ここで立場が逆転。Ok、FabrizioのLPは送るよ。だけど自分はTitoとAntonioのどっちもほしい。同じLP同士ということでTitoとFabrizioはトレードするけど、AntonioのCDも送ってもらうためには、自分はどうしたらいい? LPと一緒にお金を送ろうか? それともなにか別のアルバムも一緒に送るかい?

しかし、彼からの回答は、

FabrizioのLPだけでいいよ。そのLP1枚と、AntonioのCDとTitoのLPを交換しよう。

あぁ、本当にこのLPがほしかったんだねぇ。彼にとってはこれ1枚に、CDとLPの両方分の価値があるんだねぇ。

というわけで、日本盤LP(帯・ライナーつき)を送ってあげ、彼からはCDとLPを送ってもらうことになったのです。そしてその小包が今日、届いたのですよ。

あぁ、はじめてみる『Io ed io solo』。オリジナルじゃなくて1979年の再発盤のほうだけど、ジャケの底が少し抜けてるけど、かまいません。盤面にほんの少しすれたような感じはあるけど、充分きれいだし。

手に入ることなどないのではないかと思っていたこのアルバムを、さっきプレイヤーに乗せたのですよ。Titoの独特な丸い声が響きます。繊細で、少し神経質にも感じるけど、だけどとてもあたたかみのあるヴォーカルが、やわらかなメロディとともにスピーカーから流れ出ます。B面は全体を使った組曲。うん、1970年代のプログレッシヴ・カンタウトーレらしい味わいに満ちてる。『Concerto per ~』にくらべると少しまとまりがない感じはするけど、そしてきっとそこがTito本人にとって不満なところなのではあるだろうけど、それでも充分以上のクオリティを持っていると思うのですよ。

たしかにコアなイタリアン・カンタウトーレ・ファン向きではあります。CD再発はむずかしそうだな。なまじっかFonit Cetraなんて大手がマスター持ってる分、余計に再発が困難な気がする。大手PolydorのUmberto Balsamoが再発されないように。もったいないよなぁ。

でも、いまこのLPは自分の手元にあるんです。さっそくMDにコピーしました。これでいつでも聴きたいときにすぐ聴ける。うれしいわぁ。

ちなみにAntonioのほうはけっこう普通だった。Amedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)プロデュースで、1曲ではデュエットもしてて、Amedeoファンだったらきっと気に入るという評判だったんだけど。ま、悪くはないですけどね。でも1990年代までのAmedeoのアルバムのほうが好ましいな。

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コメント

クリスマス時期にも書こうかと思ったのですが、もあさんのblogのテンプレートがかわいい系(はぁと)になっていると、一瞬びっくりします。
そして、ワールドワイドな物々交換にさらにびっくりです。そんなことがあるんですね。どうしよう、自分もでんにすの物々交換のオファーされたら。

投稿: あんき〜お | 2005/02/12 15:47

犬、好きなんですぅ。このテンプレートもかわいいでしょ。

そういえば先日、銀座の歩行者天国で、コリー犬をひとりで5匹も(4匹だったか)散歩させている人がいまして、その人が道の真ん中で、別の人(小型犬をたくさんお散歩中)と立ち話をしてたんですよ。そのあたり、犬だらけ。その犬に群がる人だらけ(笑)。もちろん自分も群がって、コリー犬のひとりの首のあたりにさわった瞬間...

ばちっ!

おもいっきり静電気が。コリー君はぜんぜん平気な顔をしてたけど、きっと電気が首からびりっと流れて尻尾までいったはず。きっときっと尻尾の先が一瞬ぴくっとしたはず。

ごめんねぇ。

あれ、ぜんぜんイタリアネタでも音楽ネタでもなくなっちゃった。まいいか。

投稿: もあ | 2005/02/15 09:33

もあさん、お久しぶりです。
以前リンクさせてもらったものです。
TitoのIo ed io soloは僕はなんとかオリジナルを手に入れることができました。あとアルバムの未収の
COMBATが収録されているシングルも持っていますが
こちらも出来がとてもいいです。Io ed io soloは
今CD化されていないイタリアの歌物の中でトップクラスの出来だと思います。
ところでRenzo Zenobiは78年のアルバムを探しているんですか?以前一部の曲だけでCD化されましたよね?オリジナルは僕は4回ほど見ました。値段もそれほど高くなかったので買ったのですがこれもイタロ集成で書かれているとおりの素晴らしい内容です。
あとバルサモはどのアルバムをお探しですか?
70年代でしたらイタリアで何枚かLPが買えたので
CDもあわせて全部持っています
それとジャコッベは2ndのオリジナルとショニーラ
ミアのジャケを使ったベストアルバムなら持っています。
もし音だけの交換でしたらかまいませんが。
それと最近リッカルド・フォッリの70年代のロックオペラのCDがようやく入手できたのですが期待通りの内容でこのところ毎日聴いています。
とても長くなってしまいすみません。

投稿: るしぇるしぇ | 2005/03/28 13:52

あ、ここにもマニアがひとり(笑)。
関係ありませんが、ある人の定義によると、「オタク」と「マニア」の違いは「萌え」の要素があるかないか、なんだそうだ。もちろん「萌え」るのはオタク。

Titoの「COMBAT」って、知らないです。そうかぁ、名曲かぁ。彼は歌声が素晴らしいですよね。彼自身はいまも活動しているのですが、アルバム制作やコンサートではなく舞台や映像の音楽がメインみたい。あと、お父さん(ティト・シニア)の音楽的遺産の整理・管理みたいなことをやってるようなことがときどきメールニュースで連絡されてきます。

Renzo Zenobi、Umberto Balsamo、Sandro Giacobbeは、やっぱりイタロ集成に紹介されていたやつを聴いてみたいと思うのですが、なかなかむずかしいですね。Umbertoは日本盤でLP/CDの出たものや近年のCDは持っているけど、ポリドール盤で未CD化のものはベスト盤CDでしか聞いたことがない。RenzoもSandroもオリジナル録音のベスト盤は持っているけど、アルバム単位で聴いたことがない。ほかにもRoberto Sofficiとか、Flavio Giuratoのファーストとか、聴いてみたいカンタウトーレのアルバムはいくつかあるけれど、どれも奇跡のCD再発を期待するしかないのだろうなぁ。

投稿: もあ | 2005/03/30 09:05

マニアではなくてあくまでもイタリアの歌物の愛好家です。
ところでTitoは歌を歌って欲しいですね。あの歌声はほんと泣いてしまうほど素晴らしい魅力があり、ひとつの楽器だと思っています。combatはこう書くべきでした。イタロ集成に載っているシングルです。
Umberto BalsamoはBallaとCREPUSCOLOD'AMOREですかね?どちらも持っているのでよければ音を交換しませんか?あと1stもCD化されていないと思いますがこれも出来がいいです。
Roberto SofficiとFlavio Giuratoはどちらも聴きましたがわざわざLPで買うもの(特にRoberto Sofficiは万を超えます)ではないと思ったのでCDになるのを待っています。
あと最近届いたのがバッテスティの人間への夢の国内盤。歌詞が気になっていましたがようやくこれでわかることができました。

投稿: るしぇるしぇ | 2005/03/30 11:16

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