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2005/02/14

FIORELLA MANNOIA / I TRENI A VAPORE


イタリアン・レストランなどでFiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア)の曲がかかっていると、いつもまずは「この声、Alice(アリーチェ)だっけ?」と思ってしまう自分です。低くてふくらみのある声。こういう「甘さ」のない女性シンガーはけっこう好きです。甘くはないけど、やさしさとあたたかみにあふれているのがFiorellaの魅力ですね。その点、Aliceのほうがクールというか、ちょっと怖い。このクールさと怖さを突き詰めていくと、その先にはNico(ニコ)が待っている?(笑)

Fiorellaは、そのシンガーとしての実力が認められているのか、それとも人柄などで愛されているのかは知りませんが、才能のあるカンタウトーレから楽曲提供を受けることが多く、それゆえアルバム自体のクオリティも高くなり、さらにFiorella自身の評価も上がるという、とてもいいサークルのなかにいるように思います。今回のアルバムでも、アレンジはFio Zanotti(フィオ・ザノッティ)、曲提供はIvano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)、Massimo Bubola(マッシモ・ブボラ)、Francesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)、Eugenio Finardi(エウジェニオ・フィナルディ)、Enrico Ruggeri(エンリコ・ルッジェーリ)と、ビッグ・ネームばかり。

派手さはないけれど、胸に深く静かに染み渡るような曲を書くカンタウトーレたちの曲が中心なので、アルバム全体にも落ち着きがあります。こういった曲調はFiorellaのヴォーカル・スタイルにも合っていますね。ロマンティックなIvanoや、素朴でトラッド風味も感じるMassimoの曲もいいのですが、メロディや構成的にはあまり盛り上がりのないFrancescoやEugenioの淡々とした曲をこれだけ上手に「聴かせる」女性シンガーって、あまりいないと思います。テクニックや表面的な起伏とはまったく別のところで、胸の奥から、心の深いところからにじみ出てくる「想い」のようなものが、静かに、穏やかに、聴き手に届きます。そしてそれを邪魔しないように、丁寧に控えめにバックアップするFioのオーケストレーション・アレンジ。

派手さはないけれど、とても穏やかで趣のある、いいアルバムだと思います。そしてやっぱりFiorellaって素敵なシンガーだ。

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