MICHELE ZARRILLO / L'ELEFANTE E LA FARFALLA
子供の描いたクレヨン画のようなジャケットがほほえましくも印象的です。アルバム・タイトルでありオープニング曲でもある「L'elefante e la farfalla(象と蝶)」を描いたものなのでしょうが、イラストのほうはほのぼのとした感じがするのに、曲は哀愁とセンチメンタルな印象なのがちょっと不思議。
このオープニング曲も、つづくM2「Occhi siciliani」の哀愁路線。そしてM3「Non arriveranno i nostri」でMichele Zarrillo(ミケーレ・ザッリッロ)らしいアップ・テンポなポップ・ナンバーへというアルバムの流れは、なかなかいい感じです。
ただ、曲があまりドラマチックに展開しないのはあいかわらず。聴いてて気づいたのですが、彼の曲って、1曲のなかで使われるメロディ・パターンにあまりヴァリエーションがないんですね。同じような音の連なりを持ったパターンを3つか4つくらい用意して、それを並べて組み合わせて1曲ができあがっている、といった印象を受けました。もちろん、曲自体の持つメロディ・パターンはそれぞれの曲で違うのだけど、曲のなかでのパターン・ヴァリエーションが少ない。だからあまりドラマチックに展開しないんだろうな。緩急でドラマをつくることなく、緩な曲は緩なまま、急な曲は急なまま。
もともとのメロディ・パターンにヴァリエーションがなくても、ヴォーカル・スタイルだとか、バックのアレンジだとか、歌うときのメロディ・フェイクだとかでパターン崩しをすれば、もう少し緩急がつくだろうに名。M4「Domani」とか、もしこれをClaudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)が歌っていたら、もっと展開を感じさせたはず。ま、曲づくりの段階でもっと展開する曲になっていただろうけど。M3とかM6「Come hai potuto」といったポップな曲も、たとえばこれがEros Ramazzotti(エロス・ラマッゾッティ)だったらとか、Paolo Vallesi(パオロ・ヴァッレージ)だったらとか、そんなことばっかり考えてしまいました。
Renazo Zero(レナート・ゼロ)ほどドラマティック・メロディ満載でなくてもいいけど、もう少し曲内でのメロディ・ヴァリエーションと緩急を増やしてもらえれば、Micheleはもっと自分の好みになるのだけどなぁ。とはいえ、そういったある種の厚みが希薄な「軽やかさ」がMicheleの魅力ともいえるのでしょうけど。
ぜんぜん関係ありませんが、Micheleはミケーレというイタリア男性の名前だけど、Michelleはミッシェルというフランス女性の名前なのね。うしろのほうにLがひとつ入るかどうかで、国も性も変わってしまう。しかも小文字の「l」は見づらいんじゃぁ。
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