GIANNA NANNINI / G.N.
近作『Perle』ではアコースティックな演奏をバックに豊かな表現力と表情を聴かせてくれたGianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)。基本はだみ声シャウト系ロック姉さんで、どちらかというと全体的に女性歌手が苦手な自分ですが、Giannaの声とヴォーカルはけっこう好きだったりします。好きだったりはするんですが、このアルバムは、ちょっと単調かな。
以前のGiannaって、それほど表現力が豊かなわけじゃないんですよね。けっこうストレートに、シンプルに、パワフル・ヴォーカルを聴かせるっていうタイプのシンガーだったと思います。その点でキャラがはっきりしてて、わかりやすいといえばわかりやすいのだけど、ヴォーカルに「パワー」以外のものがあまりないので、アルバムの世界にガッチリ引き込まれるには楽曲の持つ「メロディ」と「アレンジ」がどれだけ魅力的かにある程度依存してると思うんです。
ちょっと聴いただけではたんなるロック姉さんなGiannaですが、メロディに関しては以前から潜在的にいいものがあったということが『Perle』というアコースティック・セットを中心としたセルフ・カヴァー・アルバムであらわになったわけです。しかし、その一方で、アレンジの面でときに恵まれないことがあったんだなということも露呈したわけで。で、このアルバムは、アレンジ面でもうひとつ恵まれなかった作品なんだろうなと思うわけです。
なんかね、演奏・アレンジが平凡。シンプルなロック・アレンジなら、それはそれでいいんですが、そこになんだか安っぽいエレ・ポップ風なアレンジも混ざっちゃって、これが興ざめです。ヴォーカルはいつもどおりがんばっているのですが、まだ表情や表現力よりも声自体の持つパワーに頼った歌い方をしている時期ですから、アレンジ面や楽曲面でドラマをうまくつくらないと、ちょっとつらい。なのに、中途半端なエレ・ポップ風味ロック・アレンジなんですよ。ほのぼの感の漂うM4のように、そういった中途半端さを押さえれば、メロディのよさと声の持つ力で充分な楽しみ方ができるのですが、へんてこアレンジがせっかくの潜在力を損なっちゃってるかな。
自分の耳からへんてこエレ・ポップ風味を締め出し、メロディと声にできるだけ注意を注いで聴いていれば、これはこれでなかなか楽しいポップ・ロック・アルバムなんですけどね。
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