MUZZI LOFFREDO / TU TI NNI FUTTI!
コアなプログレッシヴ・ロック・ファン、イタリアン・ロック・ファンには、古くから知られているアルバムです。オリジナルは1976年ころのリリースですが、その後ずっと入手困難になっていて、2001年にCD再発されるまでは自分も見たことがありませんでした。そしてその内容は……
思いっきり泥臭いトラッド・フォークでした。しかも、かなりシリアス。
どうやらシチリアのトラディショナルをベースにしたアルバムのようです。詠み人知らずの古い詩に曲をつけたものも多く、主にガット・ギター1本による弾き語り。力強く太い歌声。完全にトラッド世界の作品だと思います。
なのになぜ、コアなイタリアン・ロック・ファンに知られていたかというと、曲づくりや演奏の一部に、Pierrot Lunaire(ピエロ・リュネール)が関わっているからです。なので当然、プログレッシヴ・ファンとしてはこのアルバムにPierrot Lunaireの影を追い求めてしまうのですが、基本的に追うだけムダ。
たしかに、ときにPierrot Lunaire的な、ミニマムできらきらしたフレーズが聞こえてくることはあります。でも、それは一部の味付けとしてだけ。このアルバムの基本は、あくまでもMuzzi Loffredo(ムッツィ・ロッフレード)の野太い声と力強くかきならされるガット・ギターによるトラッドなんです。そこに、一部の曲でほんの少しPierrot Lunaireが入り込んでしまう様は、なんだかいびつです。
いずれにしろ、コアなプログレッシヴ・ロック・ファン、もしくはコアなトラッド・ミュージック・ファンだけが聴けばいい、マニアックな作品、コレクターず・アイテムだと思います。
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