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2004/12/06

JIS企画『マダラ姫』

俳優・佐野史郎、脚本家・竹内銃一郎を中心とした演劇ユニット・JIS企画の新作舞台『マダラ姫』を観てきましたよ。JIS企画についてはぜんぜん知らないのだけど、なんといっても主演が佐野史郎さんに小日向文世さんですよ。いかにも濃ゆそう、おもしろそうじゃないですか。ヒロイン役が加藤紀子さんっていうのは多分に心配がありますが。

芝居って、広告宣伝チラシをつくる段階では脚本がほとんど(?)できていないケースが多いためか、チラシに書いてある物語紹介と実際の舞台で上演される話とが違うケースが多くあります。だからか、物語紹介が一切書かれていない、芝居のタイトルとキャスティングしか書かれてないチラシもたくさんあります。とくに小劇団の場合ね。そのへんが、新しいファンを外の世界から連れてきにくい理由だろうな。どんな話、なんの話が舞台上で行なわれるのかわからないままにお金を払わなければいけないのだから。こうなると、事前の判断材料としては、役者で観るか、あるいは脚本家で観るかしかないわけで。

それは置いといて、『マダラ姫』。この芝居も、チラシの内容と実際の舞台がちょっと違いました。身元不明の死体なんて出てこないよ。とはいえ、おおよその舞台設定や登場人物などはチラシどおりなので、チラシと実際の内容の違いに「なんじゃこりゃ?」となるようなことはありませんが。

ただ、物語自体は、う~ん、困ってしまうなぁ。上演直前まで脚本ができあがらない演劇界、という現実の姿を舞台上に当てはめたのはいいにしても、それにしてもいろいろ腑に落ちない。最後まで謎が謎呼ぶ構成・展開・エンディングというのはいいにしても、あまりにも真実が見えない。考えられる真実はいくつかあるのだけど、どの真実をとっても、それで通すにはどこかに無理やつじつまの合わないところが残ってしまう。夢か幻想か錯乱を理由にするしか納得がいかない。一卵性双生児、男として育てられた女、その他もろもろがみんな「都合のいい展開」のために用意されたようにしか感じられない。物語としてけっきょく収束がつかないまま、曖昧な謎の中にすべて投げ込んで芝居を終わらせてしまったような印象でした。

困っちゃったなぁ。

演技自体はね、よかったですよ。佐野史郎さんも小日向文世さんも、やはりさすがです。あっちこっちで噛んでたけど。小日向さんのあの動きは「満腹太(まんぷく・ふとる。こんな字だったっけ?)」でしょうか。劇中のセリフにもありましたが、動きすぎです(笑)。そのほかの脇を固める役者さん、女優役の女優さんとか、刑事役の男優さんとかもね、舞台キャリアがあるなって感じでよかったです。

問題は、ヒロインであり、登場時間の長い加藤紀子さんです。加藤さんだけ、明らかに発声からして「舞台の人」じゃない。動きも、台詞回しも、ライヴの舞台で表現するには、あまりにも弱いし、こじんまりしてる。やっぱりテレビの人なんだよなぁ。それに加藤さん、あなた、笑っちゃいけないシーンで笑いをかみ殺してたでしょ! 小日向さんや佐野さんの変な動きや濃ゆ~い演技を観て、観客と一緒に笑いそうになってたでしょ!! とくに芝居の前半で。その後に続く自分のセリフのときにはシリアスな顔に戻ってたけど、その前の一生懸命笑いをかみ殺しているところ、見逃しませんでしたよ。

そこは笑っちゃいかんだろうが。あなたの役はけっこうミステリアスなんだから、あのいかにも「いまにも吹き出しそうです」な顔はまずいと思います。もっと精進してくださいね。けっこう背が高いし、顔立ちもきれいで舞台で映えるんだから、ちゃんと「舞台での演技」を身につけてくれれば、と思いますわ。

今年の観劇はこれが見納めで、ちょっと期待していたのだけど、なんとなくもやもやが残ってしまいました。

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コメント

初めて書き込みさせていただきます。
加藤紀子さんは、フランスに語学留学していた時のことを本に書いていますが、文章のセンスが少々・・・だったり、「これは言っちゃいけないんじゃないの?」というようなことを平気で活字にしてたりして、「あわわ〜」と思うこともありました。ま、そこが紀ちゃんらしいところなんですけどね。
もあさんは、観劇がお好きなんですね。私も今年のは「キャンディード」、「プレイ・ウイザウト・ワーズ」、「ブラスト」、「キャバレー」を観ました。「ブラスト」が一番見応えあったかも。

投稿: marikzio | 2004/12/12 22:02

お芝居、好きですよ~。中学生のときは演劇部だったし(照明担当だったけど。最後の舞台で一緒にスポットをやった富士子ちゃん、いまごろどうしてるかなぁ)。

marikzioさんは、大きなステージをたくさん見てらっしゃるんですね。自分はどちらかというと小劇団のこじんまりした芝居が中心です。いまのところ気に入っていて、舞台があれば都合のつくかぎり観にいくのは、Theatre劇団子とSky Theater Project、ここのところ活動休止中?の一夜城とTokyo Fってところかな。離風霊船は一時楽しみにしてたのだけど、最近はちょっとどうかなぁという感じになってきてしまった。いずれにしろ、有名な役者さんが出るものは、あまり観ていなかったりするのでした。わはは。

本当は、もっと時間とお金に余裕があってチケット争奪戦に勝てる運もあるなら、歌舞伎ももっと観にいきたい。深津絵里さんの舞台も観にいきたいし、西村雅彦さんの舞台も観にいきたい。落語も聴きに行きたいし、いまだ未経験のオペラも観たい。ミュージカルは……どうかな(汗)。ちなみに、意外と音楽のコンサートには興味がなかったりするのは、なぜかしらん(えーっ!?)。

投稿: もあ | 2004/12/14 09:06

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