ALBERTO FORTIS / DENTRO IL GIARDINO
1979年にアルバム・デビューしたAlberto Fortis(アルベルト・フォルティス)は、いまでも地道に活動を続けているようですが、あまり話題になることがありませんね。1980年代前半くらいまではけっこう人気があったらしいのですけれど。
これは、1994年にVirginレーベルからリリースされたアルバムです。正直にいってしまうと、自分の好みからすればかなり残念な内容です。魅力のないメロディ、無駄にパワフルなロック的演奏、自分が苦手とするソウルフルなアレンジ、そしてやっぱり自分の苦手ジャンルであるゴスペルっぽい、いわゆる黒っぽいコーラス……どれもこれも「まいっちゃったなぁ」という感じです。ミックスがロサンゼルスで行なわれているせいもあるのかなぁ。
初期のころのAlbertoの曲には、ロック要素は強いものの、カンタウトーレらしいみずみずしさや味わいがあり、ときにすごくセンチメンタルなメロディもあったりして、好ましい曲も多いのですが、このアルバムには、少なくとも自分は魅力を感じません。かろうじてM5「Mai」あたりに少し心ひかれるメロディやアレンジは見つけられるけど、ほかはきついです。
そういえば、Virginレーベルからリリースされたカンタウトーレのアルバムって、自分の好みとは合わないものが多いかも。最近はレーベルごとのカラーってあんまり(ほとんど?)なくなってしまったけれど、21世紀になる前はけっこう、レーベルごとに個性とか癖とかがあって、そのアーティストやミュージシャンのことを知らなくてもレーベルとプロデューサー名を頼りにアルバムを発掘するというのが洋楽ファンのあいだではふつうに行なわれていたし、それで成功する確率も高かったんですよね。逆に、このアルバムのように、アーティスト名を知ってたので手を出したら、リリース元が自分の苦手なレーベルで失敗というのも、それはそれで納得のできる(そうか?)時代ではあった気がします。
ま、そんなわけで、個人的にあまり好きになれないアルバムなのですが、それでもAlbertoの歌声のなかにときおり聞こえてくるイタリアの風情とか、思いっきりアメリカンなロック・ヴォーカル作品になってるのだけど、どうしても捨てきれないイタリアなアイデンティティが見え隠れ、見たいなところがあって、そうそうむげにもできないという気になってしまう自分は、やっぱりイタリアン・ポップス・ファンなのだわと思ってしまう今日この頃なのでした。
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