離風霊船『お母さんの選択』
離風霊船の舞台を観るのは3回目なのだけど、なんだか観るごとにおもしろくなくなっていっているような。去年、下北沢のザ・スズナリではじめて観た彼らの舞台『ニューパラダイスタウン』がなかなかおもしろくて、以後、都合がつけば観ようと思ってたのだけど、この前観た『渚家にて』でちょっとあれぇってなって、今回の『お母さんの選択』であれあれぇ~となってしまいました。この劇団って、作・演出が大橋泰彦さんのときと伊東由美子さんのときがあって、今回は伊東さんの作品なんだけど、伊東さんの作風が自分には合わないのかなぁ(前に観た2作はどちらも大橋さん作)。
なんだかね、登場人物のどれもキャラが立ってない。河童ってなによ、河童って。現代と『羅生門』を同じ舞台で同時に芝居としてかける意味があったの? 文芸風な味わいをねらったのかもしらんけど、成功してるようには思えない。笑いを取るシーンも中途半端ですべってるし。お父さん役の人だけ声でかすぎ。離風霊船お得意(らしい)の最後の舞台装置転換もどんくさくてほとんど意味なし。べつにあそこでセットを沈めなくても充分に芝居で表現できたはずのところを、「最後には舞台装置転換しなきゃ」っていう義務だけでセットを動かしてみましたって印象。
残念ながら、登場人物の誰にも感情移入できなかったし(それぞれの登場人物が現代人のもつさまざまな問題を表現していることはわかるけど、それは「頭」でわかるだけで、「心」でわかるほどには脚本上も演技上も完成されていない)、ストーリー全体としても「だからなに?」って感じだし、舞台から伝わってくることも訴えかけてくることも心に残ることも、少なくとも自分および一緒に観にいった妻にとっては、なにもなかった。芝居を観た気がしない。劇場にいった気すらしない。
今後の離風霊船はどうしようかなぁ。大橋さん作のときにもう1回くらい観にいって、それでその後を判断しようかなぁ。
芝居、楽しみにしてたんだけどなぁ。なんだかなぁ。残念だったなぁ。
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