ORO / LIBERI
前作の『Re Tour』から4年ぶり、オリジナル・アルバムとしては『3』以来7年ぶりのニュー・アルバムがリリースされました! 2000年以降、毎年「今年はニュー・アルバムを出すつもりだよ」といい続けてきた彼ら。やっとそれが現実になり、ファンとしてはうれしいかぎりです。
ORO(オーロ)はもともと、Marco Masini(マルコ・マジーニ)などのアルバムで知られるプロデューサー/ギタリストであるMario Manzani(マリオ・マンツァーニ)が中心となって結成されたグループですが、1997年の『3』を最後にMarioがグループを脱退。中心かつ主要であったMarioの脱退によりグループとしてのOROは終結?し、以後はValerio Zelli(ヴァレリオ・ゼッリ)とMauro Mengali(マウロ・メンガーリ)のふたり+サポート・メンバーというユニット形式で活動を続けていました。
2000年には新曲2曲を含む再録ベスト盤『Re Tour』をリリースしますが、これが悲しくなるほど出来が悪い。新曲自体も並の出来でしたが、旧曲の再録が、ほとんどアマチュア・レベルの演奏に録音という、聴いてて涙が出そうでしたよ。すでに『3』のときにメンバーはMario、Valerio、Mauroの3人だったので、人員的な違いは「Marioがいるか、いないか」だけのはずなんですが、この「Marioがいない」ことがすごく作品のクオリティに影響したようです。
そして、期待と不安のなかでリリースされたひさしぶりのオリジナル・アルバム。OROのメンバーはValerioとMauroのふたりで変わりはありませんが、今回は全面的にMario Manzaniが制作に協力しています。1曲を除きすべての曲の曲づくりに関わり、リズム・セクション以外のほぼすべての楽器演奏をこなし、プロデュースもアレンジも担当する。もう、これってMario Manzaniのアルバムなんじゃないのってくらい、ありとあらゆるところにMarioが顔を出しています。
しかし、これが正解でした。『Re Tour』と同じグループとは思えません。アレンジ、演奏、録音、どれもがプロの作品に戻りました。やはりMarioはすごい。先行シングルとなった「Liberi」などには往年のOROの作風が感じられますし、一方で、ValerioとMauroのふたりで頑張ってきたことによるのであろう、ちょっとフォーク・タッチでやさしい肌触りの曲もあります。彼らの代表曲である「Vivo per lei」を思い出させるヴォーカリゼーションもあります。
以前のアルバムにくらべると、演奏面におけるロック的な激しさや重厚さといったものは、少なくなっています。演奏人がパーマネントなメンバーではないので、しかたのないところではあります。ヴォーカリゼーションも、以前のように畳み掛けるようなドラマティックさはありません。そういった点で、全体にちょっとスケールダウンです。また、アルバムの構成も、後半になるにつれてだんだんとインパクトが弱まっていくような印象はあります。
でも、OROなんです。最近のイタリアン・ポップ・ミュージックのテイストを少しまといつつも、ベースとなるメロディはORO。そこにMarioの演奏とアレンジがOROらしさをさらに付け加えます。「待っていた甲斐があった!」とまではいいませんが、「よく帰ってきたね♪」くらいのうれしさはあります。
ただ、ここまでMarioだのみだと、次のアルバムはどうなるのだろう? このままMarioがメンバーに復帰とか、ないだろうなぁ。こうしてまた、期待と不安のうちに次の作品を待つことになりそうです。
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