RANDONE / RICORDO
Nicola Randone(ニコラ・ランドーネ)の3作目、Randoneというグループ名義になってからは2作目になります。2002年のでビュー以来、毎年のアルバム・リリース。いっぱい曲が浮かんじゃってしょうがない状態なんでしょうか。
Nicola Randoneという個人名義でリリースされたデビュー・アルバム『Morte di un amore』は、21世紀最初かつ本当にひさしぶりに出てきた本格的プログレッシヴ・カンタウトーレ作品として、その品質の高さも含めて、ある意味衝撃的でした。Peter Hamill(ピーター・ハミル)やTito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)に通じるような、個性的で独特の存在感と説得力のある歌声を持ったこの若いカンタウトーレが今後、どんな作品を聴かせてくれるのか、大きな期待を感じたものです。
ところが、2作目からは個人名ではなくRandoneというグループになり、プログレッシヴ・カンタウトーレではない、プログレッシヴ・ロックのアルバムをリリースしてきました。う~ん、残念。このアルバムもよい作品なのだけど、カンタウトーレ・ファンの自分としてはやはり、Nicolaにはプログレッシヴなカンタウトーレ作品をつくってもらいたかった。
そして3作目となる本作ですが、やはり名義はRandone。もうソロ・アーティストに戻る気はないのかな。というわけで、このアルバムでも正統的なプログレッシヴ・ロックが聴けます。
ときにドラマティックに、ときにリリカルに響くキーボード群。もちろんメロトロンも入ってます。ギターはハードかつエモーショナル。こういうふうにギターとキーボードのバランスがいい作品って好みです。ちょっとギターのほうが目立ってるかなというところが、さらに自分好みのバランス。そしてもちろん、個性的で魅力的なNicolaのヴォーカル。曲によってはコーラスも入り、Nicolaの歌声を上手にサポートしています。
グループ名義になっての最初の作品だった前作にくらべると、より“バンド”としてのまとまりが感じられる音になっています。ある種のいびつさや、前作では少し残っていたプログレッシヴ・カンタウトーレ的な雰囲気ががなくなった分、すっきりとして、引っかかりも減っちゃったなぁという気もしますが、演奏力や楽曲自体のクオリティは、より高くなっているでしょう。あまり「イタリア!」という感じはしませんが、往年のブリティッシュ・プログレッシヴだけでなく、西欧から東欧までのさまざまな優れたプログレッシヴ・ロックの要素が見え隠れし、まさしくユーロ・プログレッシヴといった印象を受けます。
21世紀の優れたイタリアン・プログレッシヴ・ロック作品だと思います。でも個人的にはやはり、彼にまたプログレッシヴ・カンタウトーレ作品をつくってもらいたいと思うのだなぁ。
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