SHLOMO GRONICH
イスラエルのシンガー・ソングライターだったと思います。例によって?ジャケットやブックレットはイスラエルの文字で書かれていて、アルファベット表記があるのはアーティスト名だけ。困った。
よく耳にするピアノのアルペジオによるクラシックの曲から始まります。ブックレットの写真からすると、鍵盤はShlomo Gronich(シュロモ・グロニシュ?)が自分で弾いてるのかな。このアルペジオが微妙にリズム感が悪くて、おいおい、この先だいじょうぶかよと心配になりますが、フルートその他の楽器が入るパートへとすすんでいくと、なんとかなります。ブックレットが読めないのでわからないのですが、おそらくシンガーのShlomo+バック・ミュージシャンという構成だと思うんですよ。それにしては、バックの演奏はみんな微妙に下手です。1971年リリースということを考えても、ねぇ。このあたりに西欧諸国とイスラエルの地域格差を感じちゃいます。しかし、そういった演奏力の弱さが逆に、アルバム全体にノスタルジックな雰囲気を与えているともいえます。
Schlomoの歌声は丸く、心持ち気弱な感じで、やさしく響きます。Tito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)から神がかった部分?を抜いたような印象でしょうか。そんなSchlomoのヴォーカルを中心に、哀愁とノスタルジィに満ちたストリングスやハーモニカなどが美しく響くパート、ハードなオルガン・ロック風になるパート、泣き叫ぶような女性ヴォーカルを配したパートなど、さまざまな場面が展開されていきます。アルバムとしてはあまりまとまりがないというか、かなりとっちらかっている印象ではありますが、もしかしたらこの作品、ロック・テアトルとかポップ・オペラとかなのかもしれません。そう考えると、このとっちらかり加減がなんとなく納得できます。
多少まとまりは悪いですが、アルバムのなかには喜びがあり、悲しみがあり、郷愁があり、苦しみがあり、さまざまな感情とドラマが刻み込まれています。西欧諸国の持つ美しさとは少し違った美しさもあります。声だけでなく、アルバム自体にもどこかTito Schipa Jr.の作品に通じるなにかがあるように感じます。初心者さんにはすすめませんが、プログレッシヴ・カンタウトーレのコアなファンなら聴く価値のある、意欲的な作品だと思います。
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