M.EFEKT / NOVA SYNTEZA 2
すごいです。ボコボコしたベースとドラムの迫力。ドラマティックな構成。哀愁のあるヴォーカル。力強いブラス。非常に重厚なヘヴィ・シンフォニック・ロックが堪能できます。
言論や思想に対する統制が強く残っていた1970年代の東欧・チェコで活動し、多くのアルバムをリリースしたModry Efekt(モードリー・エフェクト)のデビューは1960年代終わりころ。旧共産圏ではロックを「西側的退廃の象徴」とみなしていたようですが、チェコも例外ではなく、このアルバムにも「ロック」ではなく「ジャズ・オーケストラ」という文字が見えます。
しかし聞こえてくるのは間違いなくロック。ブラスの導入費率が高いのでジャズ風に聞こえるところもありますが、ブラスとバンドによる密度と緊張感の高いアンサンブルはOsanna(オザンナ)やKing Crimson(キング・クリムゾン)に通じるところもあるでしょう。
このアルバムを代表する曲はやはり、20分を超す大曲で、アルバム・タイトル曲にもなっている「Nova Synteza 2」でしょう。初期のころのOmega(オメガ)などにも通じるような、東欧の叙情・哀愁をたたえたハード・ロック的要素を力強いリズム・セクションとブラスが引っ張り、非常にパワフルで重く、スリリングな演奏が楽しめます。緩急をつけたドラマティックな構成も見事ですし、男声コーラスによる印象的なフレーズも耳に残ります。
共産政治によるさまざまな規制のなかで、しかも1974というはやい時期に、これだけのパワーとクオリティを持ったアルバムをリリースしたグループに脱帽するしかありません。プログレッシヴ・ロックのファンで、というよりもユーロ・ロックのファンで本当によかったと思えるアルバムです。素晴らしい。
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