MIRO / REAL LIFE GAMES
バックをIl volo(イル・ヴォーロ)のメンバーが担当していることもあってか、むかしからプログレッシヴ・ロック/イタリアン・ロックのファンのあいだでは存在がよく知られていて、また実際に聴いた人たちの評価も高いアルバムです。ただ、CD化されたのはつい最近で、それまでずっと入手困難な作品の1枚だったので、自分は聴いたことがありませんでした。
う~ん、微妙だ。
たしかにIl voloを思わせるような演奏がところどころに聞こえたりはします。M5などはいかにもイタリアン・ポップスを感じさせるストリングスの音色とアレンジがほんのりサイケ風味のロックに乗っていてちょっとひきつけられます。でもM3なんかはわりと普通のロックだし、M7とかは1960年代から70年代初頭のブリティッシュ・ポップスに近い雰囲気で、じつは全体にあんまり「プログレッシヴ・ロック!」という印象はないような気がします。
歌詞が英語というのも、ちょっとなぁという感じ。もともと曲調にそれほど“イタリア”を感じないので、英語がそぐわないということはないのですが、おそらくこのアルバムのなかでもっとも“プログレシッヴ・ロック”を感じさせるであろうM1、M2での英語歌詞の乗りの悪さはいったいどうしたものでしょう。なんだか、いかにも英語素人がもともとは別の言語で書かれていた曲の歌詞を無理やり英語に翻訳してなんとかメロディに載せましたというかのような座りの悪さ、歌メロと歌詞の乖離を感じます。
ちなみに、このM1とM2を聴いてると、日本のむかしのプログレッシヴ・ロック・グループを思い出します。Far East Family Band(ファー・イースト・ファミリー・バンド)とか。初期のころのPink Floyd(ピンク・フロイド)のサイケ風味と、初期のころのKing Crimson(キング・クリムゾン)の叙情性、そしてTangeline Dream(タンジェリン・ドリーム)のエレクトロニック風味がほどよくまぶされていて、ヴォーカルが歌メロ・発声ともに曲から浮いているところなんて、すごくオールド・ジャパニーズ・プログレッシヴに近いと思うのですが、いかがでしょうか(笑)。
イタリアということをあまり考えず、またプログレッシヴ・ロックということにあまりこだわらず、1970年代初頭の“新しい音楽”だと思って聴けば、それなりに楽しめると思います。あぁ、そうだ。Lucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)の『Amore e non amore』なんかと似たようなポジションにあるのかもしれません。自分にはあまりよさがよくわからないのだけど、古くからのプログレッシヴ・ロック・ファンのあいだでは評価が高いという点で、この2枚には通じるものがあるかも。
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