KARDA ESTRA / VOIVODE DRACULA
Karda Estra(カルダ・エストラ)というのはRichard Wileman(リチャード・ワイルマン)という人を中心に集結したプロジェクト・グループのようです。「ドラキュラ伯爵」というタイトルのとおり、吸血鬼ドラキュラの物語をテーマにしたコンセプト・アルバムです。
このてのオカルト系ロック(?)としては、スロヴェニア出身でイタリアで活動をしているDevil Doll(デヴィル・ドール)という素晴らしいグループがあって、ついそちらとくらべてしまうのだけど、くらべるまでもなく、Devil Dollの勝ちという感じです。Karda Estraはイギリスのグループですが、イギリスといえばゴシック・ロマンの本場なのに、東欧とカトリックのタッグにはかなわなかったということでしょうか。
ゴシック・ロックの魅力である、陰鬱さのなかにある神秘的な美しさと重厚感があまり感じられません。緊張感がありません。なんとなくゴシック風味なのだけど、たんにフレーズやアレンジをそうしているだけで、そこにゴシックなソウルやスピリットが感じられません。演奏が邪悪さや「忌むべきもの」「触れてはいけないもの」といった感じを出せていないため、対比的に入る女性コーラスの美しさも引き立ちません。このあたり、なみのゴシック・メタル・グループにも勝ててないと思います。
吸血鬼は、邪悪であり、忌むべきものであり、恐怖であると同時に、哀しい存在でもあるはず。そういった複雑な感情や状況がきちんと音楽化されているとは思えず、なにか、安っぽいゴシック・ホラー映画のサントラを聴いているよう。
Cyclopsレーベルから「プログレッシヴ・ロック」としてリリースされているアルバムだけど、プログレッシヴでもロックでもないと思います。どういうときに、なんのために聴けばいいのか、自分にはよくわからない作品でした。
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