魔璃鴉 / MARIA
1970年代中ごろに活動していたらしい、日本のプログレッシヴ・ロック・グループです。MARIAというグループ名は、イギリスのイエスをJesusだと勘違いした(本当はYes)らしい当時のメンバーが、イエスよりも偉大なグループになろうと、イエス(Jesus)を生んだ母マリアをグループ名にしたらしいというおバカな逸話がライナーノーツに書いてあります。脱力です。
録音はスタジオを使ってされていますが、マスターテープが紛失しているとかで、カセットテープからのCD化になっています。そのため、録音状態はあまり(かなり)よくありません。音の抜けとかすごく悪い。でも、演奏自体は迫力があり、とくにドラムはかなりすごいです。福島正彦という人なんですが、その後も音楽界に残ったのだろうか。アマチュア・バンドで終わらせてしまうにはもったいない。
迫力のドラムと、うなるベースの、リズム・セクションがしっかりしているので、演奏がすごく安定しています。キーボードもまずまず。ギターは、ちょっとバッキングのアイデアが乏しいかな。1970年代中ごろだと、このくらいでしかたないかなとも思えますが。
初期のYesやGenesis(ジェネシス)、Pink Floyd(ピンク・フロイド)などからの影響がうかがえるアレンジと演奏。ときにCosmos Factory(コスモス・ファクトリー)を思い出させるところもあり、あの時代のジャパニーズ・プログレッシヴらしいなという感じです。ヴォーカルに、ロック・ヴォーカリストとしての魅力が弱いという点でもジャパニーズ・プログレぽいです。布施明とか尾崎紀世彦とかカルメン・マキくらいの歌唱力があればなぁ。
そして、歌メロの魅力のなさは致命的な感じです。せっかく演奏面ではブリティッシュな、ユーロピアンな重厚さを発揮しているのに、歌メロが出来の悪い歌謡曲。もう少しなんとかならなかったんだろうか。メロディ・メーカーとしてはいまいちですね。改めてカルメン・マキ&オズの偉大さを感じてしまいました。
などという弱い点も多々ありますが、イギリスから渡ってきたプログレッシヴ・ロックに心奪われ、自分たちで日本のプログレッシヴ・ロックをつくろうとした当時の若いミュージシャンたちの熱い気持ちは存分に伝わってきます。こうしたグループたちの音楽が、のちのNovela(ノヴェラ)などといったグループにつながり、そこからさらにX Japan(エックス・ジャパン)やMalice Mizer(マリス・ミゼル)などにつながっていったんだよなぁなどということを考えると、なかなか感慨深いものがありますね。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 「every little music in my life」最近の更新(2023.08.06)
- Matia Bazar / The Best Of (2022)(2022.11.27)
- Umberto Tozzi / Io Camminero(2022.07.24)
- Spectrum / Spectrum 6; SPECTRUM FINAL Budoukan Live Sept. 22,1981 (1981)(2022.05.22)
- RockFour / One Fantastic Day (2001)(2022.05.22)
コメント
本当はこちらにコメントしにやって来たのです。魔璃鴉を検索するともあさんの所に行き当たります。
>歌メロが出来の悪い歌謡曲
そうですね。1曲しか聴いてませんが、アルバムを必死こいて探すほどでは無いなと思いました。
投稿: hello nico | 2007/07/10 13:01
長いこと聴いてないので、どんなだったか、いまはぜんぜん思い出せません。
日本のプログレって全体に、メロディも含めてヴォーカルが弱いことが多いのが残念です。最近はそうでもないのかな。
投稿: もあ | 2007/07/11 10:32