POOH / ASCOLTA
Pooh(プー)のファンのあいだでは、すでに「傑作」との声も高い2004年の新作です。デビューはたしか1960年代の中ごろだったと思うので、すでに40年も現役で活動を続けているわけですが、いまでも2~3年ごとに新譜を発表してますし、ぜんぜん衰えをみせませんね。
自分はとくに熱心なPoohファンというわけではないので、アルバムもそれほど持ってません。1970年代の、いわゆる「プログレ期」のものは数枚持っていますが、それ以降のものは、たまたま中古で安く売ってるのを見つけたとか、そんな感じで入手してるので、ぽつぽつとあるだけです。それでも、彼らのアルバムは、どれを聴いても、いつ聴いても、イタリアらしいやさしさとあたたかさと美しさにあふれた人懐っこいポップ・ロックで、安心できますね。
で、このアルバムです。あいかわらずPoohらしさ全開、Poohの魅力満載です。ただ、自分がこれまでに聴いたことのある彼らのアルバムとくらべると、ちょっと「重い」感じがするんですよ。全体に音づくりやアレンジが重厚で、曲調もちょっとマイナーめのものが多いような。最近のPoohって、こんなに重い感じのロックを演奏するグループでしたっけ?
もちろん、Poohならではのヴォーカル・アンサンブル、コーラス・ワークは健在です。いつもどおり、素晴らしい歌声を聞かせてくれます。演奏力も高く、ギターなんかずいぶん活躍してます。シングルカットされた「Capita quando capita」など、いかにもPoohらしい曲ですよね。
でも、このシングル曲でさえ、なんか重くないですか? Poohの曲って、厚みのある演奏・アレンジをしても、どこか人懐っこい笑顔を感じさせるような、街角でばったり会って「よぅ、カフェでも飲みにいこうぜ」と声をかけられているような、そんなイメージが自分にはあるんです。とくに1980年代以降は(ちょっとしか聴いたことないけど)。でも、この最新シングルは、自己完結しちゃってるというか、街角でばったり会ったら人懐っこい笑顔で「やぁ、いまみんなでカフェを飲んできたところなんだよ。またな」っていわれちゃったような、そんな印象を受けてしまいました。
シンフォニックなオープニング曲から、ポップなシングル曲、美しいバラード、ちょっとハードなロック・チューンなど、さまざまなタイプの曲が収録されていて、それぞれのクオリティはとても高いと思います。曲のヴァリエーションが多彩なのに、アルバムとしてばらけた感じがしない、きちんとPoohのアルバムとしてのまとまりとストーリーを見せるところなど、完成度は高いです。優れたイタリアン・ポップスのアルバムだといえるでしょう。ただ、自分個人の気持ちとしては、少し完成されすぎちゃってるかな、Poohにはもう少し、人の良さゆえの無防備さというか、気軽さというか、そんなものを期待しちゃいます。
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