MASSIMO DI CATALDO / IL MIO TEMPO
気がつくと、いつのまにか中堅カンタウトーレになっていたMassimo Di Cataldo(マッシモ・ディ・カタルド)のベスト盤。新曲が2曲収録されているらしいのですが、いま手元にトラック・リストがないし、自分は彼のオリジナル盤を1枚しか持っていないので、どれが新曲なのかわかりません。
Massimoに限ったことではありませんが、ベスト盤って、基本的に退屈です。「ベスト」というくらいだから、個々の曲はどれもクオリティの高い曲、キャッチーでシングル向きな曲が集められているのでしょうが、そういう曲を集めた結果、同じようなクオリティ、同じような傾向の曲ばかりが収録されてしまい、CDトータルとして聴いたときに飽きてきちゃうことがしばしばです。これがオリジナル・アルバムだったら、途中でわざと「はずす曲」を入れたり「遊ぶ曲」を入れたり「つなぎの小曲」を入れたりなどして、アルバム全体としてのリズムや抑揚をつけることができるのですが、ベスト盤ではそういった曲はカットされちゃいますからね。ベスト盤に限らず、アルバムは「シングル(にもできる)曲の集合体」と考えている(のだろう)最近のアーティストのアルバムも、ずっと聴いてるとやはり退屈。そういう意味では、否定的な意味でむかしよく使われていた「捨て曲」というのも、じつは必要なのかもしれません。
で、MassimoのこのCDですが、個々の曲はまぁまぁいいです。でも、すごくいいというわけではなく、アヴェレージ。普通です。Massimoのヴォーカルも、まぁまぁうまいんだけど、個性があまりありません。普通です。結果として、曲も歌も「普通にきれいでいいんじゃない」という感じになってます。
この「普通」さが、かなりの弱点だと感じます。いま手元にクレジットがないので確認できませんが、聴いた感じでは、M5ではEros Ramazzotti(エロス・ラマッゾッティ)、M6ではRenato Zero(レナート・ゼロ)が参加して、Massimoとデュエットしていると思います。Massimoにとって残念なのは、Erosの声が入ると、その曲はErosの曲に聞こえてしまうこと。Renatoのヴォーカルが入ると、その曲はRenatoのものに聞こえてしまうこと。ErosやRenatoがソロでヴォーカルをとってるパートだけでなく、Massimoのヴォーカルとかぶさっているときでさえ、Massimoの曲じゃないように聞こえてしまうんです。
相手がErosにRenatoと、イタリアン・シンガーのなかでもとくにヴォーカルに個性がある人だからということもありますが、それでも、自分でつくって自分がメインで歌っている曲なのに、ちょっと参加してるだけの彼らに全部持ってかれちゃうような印象を与える(少なくとも自分にはそう感じられた)ってのは、カンタウトーレとしてはかなりきついと思います。曲にも歌声にも個性がなさすぎなんですよ。
いいものは持ってます。平均点はラクにクリアしています。あとは、もっと「Massimoならでは」といった部分があればなぁと、自分としては残念に思うシンガーなんですよね、彼。ま、そういった個性(=クセ)がないところが、聴きやすくていい、評価できるっていう考え方もあるのではありますが。
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