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2004/05/16

スクール・オブ・ロック

映画『スクール・オブ・ロック(The School of Rock)』を観てきました。

いやぁ、おっかしかったです。おもしろかったです。そんで少しじ~んとしちゃいました。

ストーリー的にはね、超ご都合主義でぬる~い話なんですよ。才能はないけどロックを心から愛してるダメ男デューイが、その「ロックへの暑苦しいまでの愛情」ゆえに自分でつくったバンドをくびになり、金がなくて友人のネッド(元のロック仲間。現在は「代用教員」というかたぎの商売)の家に転がり込んだはいいけど、ネッドの彼女は「ロックな心」のかけらもない超体制派。その彼女の入れ知恵(?)で「金が払えないなら出てってくれ」とネッドにいわれちゃったデューイが、ネッド宛にかかってきた私立小学校からの代用教員依頼の電話に出て、ネッドになりすまして学校で働き、金を得ようと考える。もぐりこんだ学校は超保守的な超一流学校で、子供たちは勉強ばかりで覇気がない。しかし音楽的な才能があることにデューイが気づき、子供らをしこんでロックバンドをつくってバンドバトルに出場し優勝してかつての仲間らを見返してやろうと考えるんだけど、そのために子供たちに「ロック」を教えているうちに、子供たちと一緒に「ロックする」ことにのめりこんでいき、子供たちも「ロックする」ことで生き生きと自分の可能性に気づいていく……てな感じでしょうか。

ね、くだらない話でしょ。一歩引いて冷静に観たら、ばかばかしくて観てられないと思うんですよ。でもね、スピーカーから粘っこいエレキ・ギターと大地を震わすバスドラム、力強いベースの音が響いてくるとね、そんなことは関係なくなっちゃう。

ロックの「ロ」の字も知らないままに、まじめにまじめに育てられた子供たちに「この曲知ってるか」ってはじめに聴かせるギターのイントロがBlack Sabbath(ブラック・サバス)の「Iron Man」で、いきなりのけぞっちゃいましたよ。なんでサバス? なぜアイアン・マン?? マニアックだ。次にDeep Purple(ディープ・パープル)の「Smoke on the Water」のリフを聴かせてたけど、順番が逆じゃないの? それともアメリカではパープルよりもサバスのほうがロックなんだろうか。ま、たしかにサバスのほうが「ロック」だとは思うんだけど。

「ロックとはなにか」を感じてもらうためにデューイが「宿題」として子供たちに渡すCDもたまらんです。ギター担当の子にはJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)、ドラムの子にはRush(ラッシュ)の『2112』(Neil Peart(ニール・パート)は天才だ!とかいいながら)、キーボードの子にはYes(イエス)の『Fragile』(「Round About」をよく聞け!とかいいながら。そしてその子はRick Wakemanをすっごく小粒にしたようなクラシカルなキーボード・プレイをオルガン・サウンドで弾くようになるのだ!)、ソウルフルな歌声を持った黒人の女の子にはPink Floyd(ピンク・フロイド)の『Dark Side of the Moon』を渡して「The Great Gig in the Sky」を聴けっていうんだぜ。的確なようでいて、じつはかなりエキセントリックなセレクションだと思いません? 制作者はプログレッシヴ・ロックのファンなのか。

ほかにもT.Rex(ティ・レックス)やLed Zeppelin(レッド・ツェッペリン)、The Who(フー)、Kiss(キッス)、AC/DCとかががんがんかかって、どんどん自分がロックに熱中していた1970~1980年代、エレキ・ギターを抱えてバンドでロックを演奏していた学生時代に連れ戻されちゃう。

クライマックスとなるバンド・バトルでの演奏シーンでは、デューイは小学生が着る半ズボンの学生服にギブソンのSGという、見る人が見れば明らかにAC/DCのAngus Young(アンガス・ヤング)なかっこうで登場。めっちゃ盛り上がっちゃいました。できればランドセルもしょってほしかった。ステージでお尻も見せてほしかった。

そして、客席へのダイブ。思わず拍手しちゃいましたよ。じわぁ~ってきちゃいました。ほかにも何人か拍手してた。

ほんと、単純で、うそっぽくて、すごく予定調和な映画なんです。でもね、少なくとも自分は知ってるんです。けんかしたり共感したりしながら一緒に曲を演奏し、バンドの音をつくりあげる楽しさを。それをステージにかける興奮を。そしてステージが終わったあとの心地よい虚脱感を。それをまた味わいたいために、ひとつの曲に、自分たちのバンドに、一生懸命に打ち込む喜びを。そういった気持ちを思い出させてくれる映画でした。

最後のスタッフロールが終わり、劇場の照明がともる瞬間も、思わず拍手しちゃいました。ほかの席からも、ぱらぱらとではあったけど、拍手が起こりました。あのとき拍手した人たちって、きっとバンド経験者だぞ。

映画を観たのと同時に、まだロックが幸せだった古き良き時代のロック・コンサートをも観たような、そんな印象が残りました。席で座って観るだけでなく、演奏シーンでは立ち上がって踊りたかった。声をかけたかった。そして、もっともっと大きな音で聴きたかった。ロックって、やっぱりいいな。

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